ワニワニパニック
ナムコが1989年に世に送り出したアーケードゲーム『ワニワニパニック』は、エレメカ（エレクトロメカニカルゲームマシン）の代表作として、今なお多くの人々に親しまれています。
このゲームは、後にバンダイナムコグループの経営トップとなる石川祝男氏の発想から生まれました。失敗に終わった試作機開発のプレッシャーの中、モグラ退治ゲームにヒントを得て、『動物が正面から迫ってくる恐怖感を伴うゲーム』というアイデアを思いついたのは、意外にもご自宅のトイレだったといいます。
1987年に提出された企画書では、『単に叩くだけでなく、全身を使ってプレイする爽快感、大きな動き、特徴的なキャラクターを取り入れたアクションスポーツゲーム』が目指されました。アマゾンのジャングルで凶暴なワニと対峙するという世界観設定や、手前がカーブした5匹のワニが並ぶ筐体デザイン案も同時に練られました。
しかし、当初は単なるモグラ退治の亜種と見なされ、企画はなかなか通りませんでした。そこで石川氏は、段ボールに穴を開け、棒の先に動物のスリッパをつけた試作機を使い、『標的が迫ってくることによる独特の恐怖感』こそがこのゲームの魅力だと改めて熱弁しました。この実演が功を呼び、ついに製品化への道が開かれたのです。
開発段階では、ワニの口が開閉する機構が持つ危険性や耐久性が懸念されましたが、これは特殊な樹脂素材の採用や、叩かれる衝撃を吸収する厚みのある舌の構造によって克服されました。製造はホープ社に委託されました。
ゲームプレイはシンプルながら奥深さがあります。5匹並んだワニが穴から飛び出し、プレイヤーは手に持ったハンマーでこれを叩いて撃退します。ワニが一定ラインまで迫ると噛まれたと見なされ、減点となります。プレイヤーの腕前によってゲームの難易度が変化したり、ゲーム後半にはワニの動きが速くなる『怒った』状態になったりする要素も盛り込まれています。
プレイ時間は標準で50秒ですが、40匹以上のワニを叩くことで10秒間の延長が得られます。特筆すべきは、ワニを叩いたことを感知するセンサーがハンマー側ではなくワニ側に内蔵されている点です。これにより、ハンマーでなくともワニの口を素手などで押しても反応し、得点になります。その日の最高得点は『本日のスゴウデ』として記録され、プレイヤーのモチベーションを刺激しました。
さらに、ワニたちにはプレイヤーの状況に応じて様々な台詞が用意されており、独特の個性を与えています。これらの声は、著名な声優である渡辺久美子氏が担当しています。
『ワニワニパニック』はアーケードゲームとしてだけでなく、その人気から多岐にわたる展開を見せました。業務用ゲームの続編や派生作品はもちろん、ミニチュア玩具や携帯ゲーム、ボードゲーム、さらにはリハビリテーション支援を目的とした高齢者向けマシン（リハビリテインメントマシン『ワニワニパニックRT』など）としてもアレンジされました。パチンコやパチスロにも登場するなど、その影響力はゲームセンターの枠を超えて広がりました。
初代稼働から長い年月が経ち、一部の旧型筐体については、部品の調達が困難になったことから、2017年10月にメーカーによる保証修理サポートが終了しました。リハビリテインメントマシンや、ホープ社が販売した一部製品、そして後述する新作『ワニワニパニックR』は対象外です。サポート終了後も、在庫がある場合は修理対応されることがありますが、法人顧客に限られるのが現状です。他の修理業者にとっても、1990年代のエレメカは日本製部品が多く、供給が途絶えているため、修理が極めて難しい状況です。こうした背景が、24年ぶりの新作となる『ワニワニパニックR』の開発へと繋がりました。
2020年には、初代のコンセプトを踏襲しつつ、ハンマーを2台に増やして二人プレイに対応し、大型液晶ディスプレイで演出を強化した『ワニワニパニックR』が稼働を開始しました。これにより、長年愛されてきたゲームが最新技術で再び楽しめるようになりました。
また、『ワニワニパニック』は、他のナムコ製エレメカである『おかし大作戦』や『コズモギャングズ』との関連性が指摘されたり、『太鼓の達人』と同様にRT化された例として挙げられたりすることもあります。漫画家の小路啓之氏が作品を描いたり、お笑い芸人の川島明氏（麒麟）が声まねを披露したりするなど、ゲームの世界を飛び出した文化的影響も少なくありません。
多岐にわたるシリーズ作品や派生ゲームが存在し、海外版『Wacky Gator』、カニやサメをテーマにした『カニカニパニック』『サメサメパニック』、垂直型もぐら叩きの『たこいかぱにっく』、二人プレイ対応の『ワニワニパニック3』などが挙げられます。ゲーム以外の分野でも、バンダイからのミニチュア玩具シリーズやボードゲーム、小学館の雑誌付録、ガシャポン商品など、幅広い商品展開が行われています。
このゲームは、後にバンダイナムコグループの経営トップとなる石川祝男氏の発想から生まれました。失敗に終わった試作機開発のプレッシャーの中、モグラ退治ゲームにヒントを得て、『動物が正面から迫ってくる恐怖感を伴うゲーム』というアイデアを思いついたのは、意外にもご自宅のトイレだったといいます。
1987年に提出された企画書では、『単に叩くだけでなく、全身を使ってプレイする爽快感、大きな動き、特徴的なキャラクターを取り入れたアクションスポーツゲーム』が目指されました。アマゾンのジャングルで凶暴なワニと対峙するという世界観設定や、手前がカーブした5匹のワニが並ぶ筐体デザイン案も同時に練られました。
しかし、当初は単なるモグラ退治の亜種と見なされ、企画はなかなか通りませんでした。そこで石川氏は、段ボールに穴を開け、棒の先に動物のスリッパをつけた試作機を使い、『標的が迫ってくることによる独特の恐怖感』こそがこのゲームの魅力だと改めて熱弁しました。この実演が功を呼び、ついに製品化への道が開かれたのです。
開発段階では、ワニの口が開閉する機構が持つ危険性や耐久性が懸念されましたが、これは特殊な樹脂素材の採用や、叩かれる衝撃を吸収する厚みのある舌の構造によって克服されました。製造はホープ社に委託されました。
ゲームプレイはシンプルながら奥深さがあります。5匹並んだワニが穴から飛び出し、プレイヤーは手に持ったハンマーでこれを叩いて撃退します。ワニが一定ラインまで迫ると噛まれたと見なされ、減点となります。プレイヤーの腕前によってゲームの難易度が変化したり、ゲーム後半にはワニの動きが速くなる『怒った』状態になったりする要素も盛り込まれています。
プレイ時間は標準で50秒ですが、40匹以上のワニを叩くことで10秒間の延長が得られます。特筆すべきは、ワニを叩いたことを感知するセンサーがハンマー側ではなくワニ側に内蔵されている点です。これにより、ハンマーでなくともワニの口を素手などで押しても反応し、得点になります。その日の最高得点は『本日のスゴウデ』として記録され、プレイヤーのモチベーションを刺激しました。
さらに、ワニたちにはプレイヤーの状況に応じて様々な台詞が用意されており、独特の個性を与えています。これらの声は、著名な声優である渡辺久美子氏が担当しています。
『ワニワニパニック』はアーケードゲームとしてだけでなく、その人気から多岐にわたる展開を見せました。業務用ゲームの続編や派生作品はもちろん、ミニチュア玩具や携帯ゲーム、ボードゲーム、さらにはリハビリテーション支援を目的とした高齢者向けマシン（リハビリテインメントマシン『ワニワニパニックRT』など）としてもアレンジされました。パチンコやパチスロにも登場するなど、その影響力はゲームセンターの枠を超えて広がりました。
初代稼働から長い年月が経ち、一部の旧型筐体については、部品の調達が困難になったことから、2017年10月にメーカーによる保証修理サポートが終了しました。リハビリテインメントマシンや、ホープ社が販売した一部製品、そして後述する新作『ワニワニパニックR』は対象外です。サポート終了後も、在庫がある場合は修理対応されることがありますが、法人顧客に限られるのが現状です。他の修理業者にとっても、1990年代のエレメカは日本製部品が多く、供給が途絶えているため、修理が極めて難しい状況です。こうした背景が、24年ぶりの新作となる『ワニワニパニックR』の開発へと繋がりました。
2020年には、初代のコンセプトを踏襲しつつ、ハンマーを2台に増やして二人プレイに対応し、大型液晶ディスプレイで演出を強化した『ワニワニパニックR』が稼働を開始しました。これにより、長年愛されてきたゲームが最新技術で再び楽しめるようになりました。
また、『ワニワニパニック』は、他のナムコ製エレメカである『おかし大作戦』や『コズモギャングズ』との関連性が指摘されたり、『太鼓の達人』と同様にRT化された例として挙げられたりすることもあります。漫画家の小路啓之氏が作品を描いたり、お笑い芸人の川島明氏（麒麟）が声まねを披露したりするなど、ゲームの世界を飛び出した文化的影響も少なくありません。
多岐にわたるシリーズ作品や派生ゲームが存在し、海外版『Wacky Gator』、カニやサメをテーマにした『カニカニパニック』『サメサメパニック』、垂直型もぐら叩きの『たこいかぱにっく』、二人プレイ対応の『ワニワニパニック3』などが挙げられます。ゲーム以外の分野でも、バンダイからのミニチュア玩具シリーズやボードゲーム、小学館の雑誌付録、ガシャポン商品など、幅広い商品展開が行われています。
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