ワライカワセミ

ワライカワセミ（笑い翡翠）

ワライカワセミ（学名: Dacelo novaeguineae）は、ブッポウソウ目カワセミ科に属する鳥類です。その最大の特徴は、人間の笑い声に酷似した、けたたましい鳴き声です。この特徴的な鳴き声が名前の由来となっています。

形態

ワライカワセミは、全長40cmから47cm程度で、カワセミ科の中では最大級の大きさを誇ります。その体格は、ハトとカラスの中間くらいと考えるとイメージしやすいでしょう。

くちばし: 短くて太く、上部は黒色、下部は肌色をしています。
体色: 全体的に白っぽい色をしていますが、目の周りには黒褐色の過眼線が入り、頭には黒褐色の斑点がある冠羽が見られます。
翼と背中: 背面は濃い褐色で、翼には水色の部分があります。腰にも水色が混じります。
尾: 茶褐色の尾には、7本前後の黒い帯があり、先端は白色です。

分布

ワライカワセミは、オーストラリア北東部のヨーク岬半島から、南オーストラリア州のアデレード付近にかけて広く分布しています。さらに、西オーストラリア州の南西部やタスマニア島、カンガルー島、そしてニュージーランドに移入され、生息範囲を広げています。

生態

森林地帯から、木がまばらに生えた草原まで、様々な環境に適応して生息しています。また、都市部にも進出しており、その姿を見かけることもあります。

ワライカワセミは、大きな声で鳴き、縄張りを主張します。この鳴き声が人間の笑い声に似ているため、動物園などで飼育され、親しまれています。

繁殖期は夏で、木の洞を巣として利用します。通常、2個から4個の白い卵を産みます。興味深いことに、繁殖に参加しない個体が、抱卵や給餌を手伝うことがあります。巣立ち後も、これらの個体が若鳥を天敵から守る行動が確認されています。非繁殖期には家族で生活し、通常は一生を同じ場所で過ごします。寿命は約20年です。

食性は肉食で、木の枝などから獲物を探し、見つけると飛びかかって捕獲します。日本のカワセミのように水に飛び込んで魚を捕食することは稀で、主に地上で獲物を捕らえます。昆虫類からネズミ、ヘビまで、様々な小動物を捕食し、時には小鳥の巣を襲うこともあります。

近縁種

ワライカワセミ属（Dacelo 属）には、以下の3種類の近縁種が知られています。

アオバネワライカワセミ (D. leachii): オーストラリアに分布
アルーワライカワセミ (D. tyro): ニューギニアに分布
チャバネワライカワセミ (D. gaudichaud): ニューギニアに分布

保全状況

ワライカワセミは、IUCN（国際自然保護連合）のレッドリストにおいて、軽度懸念（Least Concern）に分類されています。

その他

シドニーオリンピックのマスコットの一つ「オリー」は、ワライカワセミをモチーフにしています。
NHKの「みんなのうた」には、「わらいかわせみに話すなよ」（作詞: サトウハチロー、作曲: 中田喜直）という楽曲があります。

参考文献

Field Guide to Australian Birds, Michael Morcombe, Steve Panish Publishing, 2004, ISBN 9781740215596
* Egerton, L. ed. 2005. Encyclopedia of Australian wildlife. Reader's Digest ISBN 9780864491183

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