カンガルー島

オーストラリア連邦南オーストラリア州に属するカンガルー島は、州都アデレードから南西へ約112キロメートル、本土最寄りのケープ・ジャーヴィス沖合約13キロメートルのインド洋上に位置しています。面積は約4,400平方キロメートルに及び、タスマニア島、メルビル島に次いでオーストラリア国内で3番目に大きな島として知られています。

島の地理は変化に富んでおり、東西は約150キロメートルにわたって細長く伸びていますが、南北の幅は場所によって大きく異なります。最も狭い部分では900メートル程度なのに対し、広い部分では57キロメートルほどの広がりを見せます。

カンガルー島最大の魅力は、その手つかずの自然とそこに息づく多様な野生動物たちです。陸上では、オーストラリア・アシカやニュージーランド・オットセイといった哺乳類、コアラやフクロギツネ、ダマヤブワラビー、ポッサムなどの有袋類、そして珍しいハリモグラといったユニークな動物たちが観察できます。

空には、愛らしいフェアリーペンギン、オーストラリアの象徴であるエミュー、鮮やかなルリオーストラリアムシクイ、独特の鳴き声を持つワライカワセミなど、多種多様な鳥類が生息しています。さらに、テリクロオウムやアカクサインコ、モモイロインコ、アカビタイムジオウム、キバタン、ゴシキセイガイインコ、ワカナインコ、イワクサインコといった色とりどりのインコやオウムの仲間も多く見られます。

島の周辺海域もまた、豊かな生命の宝庫です。イエローヘッド・フラフィッシュやホースシュー・レザージャケットといった魚類に加え、幻想的な姿のウィーディ・シードラゴンやリーフィーシードラゴンが海藻に溶け込むように生息しています。オーストラリアコウイカやオールドワイフ、ダイオウギス、そして高級食材として知られるアワビなども見られます。

2011年時点の島の人口は約4,400人であり、そのうち2,000人以上が主要な町であるキングスコートに集中して暮らしていました。島の経済は、農業、観光業、漁業によって支えられています。農業では、品質の高いワイン、特産の蜂蜜、羊毛、食肉、そして穀物などが生産されています。

特に蜂蜜は島の重要な特産品です。カンガルー島には、世界最古とされるミツバチの保護区が存在します。1881年にイタリアのリグリア地方から導入されたリグリア蜂は、現在ではこの島にのみ純粋な血統が保たれており、貴重な遺伝資源となっています。

このような豊かな自然とユニークな生態系を持つカンガルー島は、エコツーリズムのデスティネーションとして世界中から観光客を惹きつけています。野生動物との出会いや美しい海岸線の景観、そして島の特産品を味わうことが、訪問者の主な目的となります。島の自然を守りつつ、持続可能な形で経済活動が行われています。カンガルー島は、オーストラリアの自然の多様性と希少性を体現する貴重な場所と言えるでしょう。

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