ワリモ岳

ワリモ岳（わりもだけ）

北アルプスとして知られる飛騨山脈の中部、富山県富山市と長野県大町市の県境に位置する標高2,888メートルの山です。多くの登山者が目指す裏銀座縦走ルート上にあり、周辺の山々との間を結ぶ重要な地点となっています。

概要

ワリモ岳は、長野県と富山県の県境を縫うように続く裏銀座縦走コース上に位置しており、南には標高2,862メートルの真砂岳、北には標高2,924メートルの鷲羽岳が控えています。特に南側の真砂岳寄りには、標高2,900メートルに建つ山小屋、水晶小屋があり、ここからさらに北東方向へ向かうと、水晶岳（2,986メートル）を経て赤牛岳（2,864メートル）へと続く尾根が分岐しています。この地理的な位置から、ワリモ岳は周辺の主要な山岳エリアを結ぶ要衝の一つと言えます。

古くからこの山は漢字で「割物岳」と表記されてきました。この独特な名は、山頂付近に見られる、まるで割れたような岩が積み重なってそびえ立つ特徴的な山容に由来すると伝えられています。

登山

ワリモ岳の山頂部は、大きな岩塊が複雑に積み重なった形状をしています。そのため、一般的な登山ルートは、安全確保のために山頂直下を通過せず、少し西側を巻くように設定されています。主な登山ルートは以下の通りです。

鷲羽岳からのルート：
鷲羽岳山頂からは、約30分程度でワリモ岳に到達できます。このルートは比較的短時間で移動できますが、登山道の右側（東側）が崩れやすい場所があるため、通過には特に慎重な歩行が必要です。高度感のある場所もあるため、足元に注意しながら進む必要があります。

水晶小屋からのルート：
水晶小屋からは、ワリモ北分岐を経由してワリモ岳山頂方面へ向かいます。所要時間は約50分です。水晶小屋を出てすぐの一部区間を除けば、比較的緩やかな勾配の登山道が続きます。周辺の山々の広大な景色を楽しみながら歩くことができる、気持ちの良いルートです。

高天原からのルート：
高天原から岩苔乗越を経由してワリモ岳を目指すルートです。所要時間は約3時間10分となります。このルートの途中には、神秘的な雰囲気を持つ水晶池があります。岩苔乗越からワリモ北分岐に至る区間は、急な登りとなりますので、体力とペース配分に注意が必要です。

黒部源流からのルート：
黒部源流地域から岩苔乗越を経由して登るルートで、ワリモ岳までの所要時間は約2時間です。岩苔乗越に至るまでの道のりは勾配が急で、夏場などは草木が生い茂る場所もあるため、足元が見えにくいこともあります。

* 雲ノ平からのルート：
雲ノ平から祖父岳を経由してワリモ岳へ向かうルートです。所要時間は約2時間30分となります。このコースの途中、祖父岳の手前に梯子場があります。岩場や高度のある場所が苦手な方は注意が必要です。雲ノ平の美しい景観を楽しみながらアクセスできます。

ワリモ岳は、裏銀座縦走の中心的な位置にあり、様々な方面からのアクセスが可能です。それぞれのルートで異なる景観や特徴があるため、自身の体力や経験、行程に合わせて選択することができます。周辺は高山帯の豊かな自然に囲まれており、多くの登山者を惹きつけています。

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