鷲羽岳

鷲羽岳（わしばだけ）

鷲羽岳は、長野県大町市と富[[山県]]富[[山市]]にまたがる、北アルプスに位置する標高2,924mの山です。1934年に中部山岳国立公園に指定され、その特別保護地区となっています。また、日本百名山にも選定されており、多くの登山者に愛されています。

概要

北アルプスのほぼ中央部、黒部川の源流に位置しており、「裏銀座」と呼ばれる飛騨山脈主稜線の縦走路上にあります。そのため、複数日かけて登山されることが一般的です。山頂は森林限界を超えたハイマツ帯で、見晴らしが良く、飛騨山脈の山々を一望できます。山の北側はデイサイト、南側は花崗閃緑岩で構成されています。

山名の歴史

現在の鷲羽岳は、明治の登山黎明期まで東鷲羽岳または龍池ヶ岳と呼ばれ、現在の三俣[[蓮華岳]]が鷲羽岳とされていました。加賀藩政時代には、飛騨山脈の調査が行われ、1697年には「鷲ノ羽岳」という名前が絵図に記されていました。特に三俣[[蓮華岳]]周辺は、三国境としての重要性から詳細に調査されていました。

1810年の記録には、「鷲ノ羽嶽頭」からの眺めや、鷲羽池の水が減っている様子が記述されています。1910年、日本山岳会の小島烏水と高頭仁兵衛が、上高地の案内人と共に登山した際、三俣[[蓮華岳]]について、案内人が「蓮華喰みの岳」と説明したことから、この山を「蓮華」と呼ぶようになったとされています。当時の地形図では、三俣[[蓮華岳]]が鷲羽岳とされていましたが、日本山岳会の働きかけにより、1930年に修正され、現在の名称となりました。山名の由来は、三俣[[蓮華岳]]から見た鷲が羽ばたく姿に由来すると言われています。

登山

1907年夏、志村烏嶺が、高瀬渓谷から烏帽子岳を経て、現在の裏銀座コースを縦走し、鷲羽岳に初登頂しました。当時の登山界では、人跡未踏の山への初登頂や縦走が話題となっていました。

登山ルート

鷲羽岳は、裏銀座のルート上にあり、以下の様な複数のルートがあります。

裏銀座（北方から）: 高瀬ダム - ブナ立尾根 - 烏帽子岳 - 野口五郎岳 - 水晶小屋 - ワリモ岳 - 鷲羽岳
読売新道: 黒部ダム - 平ノ渡場 - 読売新道 - 赤牛岳 - 水晶岳 - 水晶小屋 - ワリモ岳 - 鷲羽岳
折立より: 折立 - 太郎平小屋 - 北ノ俣岳 - 黒部五郎小舎 - 黒部五郎岳 - 三俣[[蓮華岳]] - 三俣山荘 - 鷲羽岳
新穂高温泉より: 新穂高温泉 - 笠新道 - 双六小屋 - 双六岳 - 三俣[[蓮華岳]] - 三俣山荘 - 鷲羽岳
裏銀座（南方から）: 槍ヶ岳 - 西鎌尾根 - 樅沢岳 - 双六小屋 - 双六岳 - 三俣[[蓮華岳]] - 三俣山荘 - 鷲羽岳

三俣[[蓮華岳]]との鞍部にある三俣山荘と湯俣温泉を結ぶ伊藤新道は、現在廃道となっています。

周辺の山小屋

周辺の登山道上には、山小屋やキャンプ指定地があります。最寄りの山小屋は三俣山荘で、ここから山頂までは、ハイマツ帯を抜けた砂礫地の急坂が続きます。

地理

鷲羽池火山

山頂から南東約450mには、鷲羽池があります。この池は、鷲羽岳南東斜面に形成された火山であり、鮮明な火口地形が残っています。12万年前以降に活動し、安[[山岩]]やデイサイトの溶岩を流出させました。過去1万年以内に噴火した可能性も指摘されていますが、気象庁の活火山には指定されていません。鷲羽池火口南東の硫黄沢では、水蒸気噴出が観測されることがあります。過去の調査では、紀元前2300年頃に硫黄沢で、西暦紀元頃には鷲羽池で大規模な水蒸気噴火があったことが確認されています。

周辺の山

鷲羽岳周辺には、以下のような山々があります。

水晶岳
黒部五郎岳
三俣[[蓮華岳]]
槍ヶ岳
笠ヶ岳
双六岳
烏帽子岳
野口五郎岳
赤牛岳

源流の河川

鷲羽岳周辺は、黒部川と高瀬川の分水嶺となっています。これらの河川は、日本海へと流れます。

黒部川
湯俣川（高瀬川の支流）
* ワリモ沢（高瀬川の支流）

山容と風景

鷲羽岳は、その独特の山容と周囲の山々の景色で、登山者たちを魅了しています。特に山頂からの眺めは格別で、多くの登山者を惹きつけています。

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