ワルシャワ通勤鉄道

ワルシャワ通勤鉄道（WKD）の概要

ワルシャワ通勤鉄道（Warszawska Kolej Dojazdowa、略称：WKD）は、ポーランドの首都ワルシャワとその南西部に位置するグロジスク・マゾフシェを結ぶ近郊電気鉄道です。この鉄道路線は、通勤や旅行を便利にするための重要な交通手段となっています。特に、1本の支線で構成されており、都市と郊外を結ぶ役割を果たしています。

歴史の歩み

WKDの歴史は1927年に遡ります。この年、イギリス資本の通勤電車会社EKDがポーランドにおいて初めての電化鉄道を開通させました。当初の架線電圧は直流650Vで設定されており、ワルシャワ市内の一部区間は併用軌道として利用されていました。開業当初、イングリッシュ・エレクトリック製の電動客車と付随客車がそれぞれ20両ずつ導入され、1日に約4000人を運ぶほどの人気を博しました。しかし、運行の収益が期待ほどにはならず、土地を売却して経営を支えることもありました。

第二次世界大戦後の1947年、共産主義政権により国有化され、1951年にはポーランド国鉄の管理下に移る際にWKDと名乗るようになりました。ただし、鉄道の電化方式はポーランド国鉄の直流3000Vとは異なるままでした。そして1972年には、ほぼ半世紀にわたって使用されていた古い電車に代わって、特化型のEN94形電車が導入されました。2001年にはポーランド国鉄が機構改革を行いWKDは分社化され、2007年にマゾフシェ県が設立した公営企業に移行しました。

新車両の導入も進み、2004年にはPESA社のEN95形が試作され、以降2010年には新設計のEN97形が製造されました。2012年には、国鉄線と同じ架線電圧に対応できるEN97形が運行を開始し、さらに2016年にはNewag社のEN100形も登場しました。

運行の実際

現在、運行されている電車にはEN95形が1編成、EN97形が14編成、EN100形が6編成在籍しています。また、旧型のEN80とEN94形も1両ずつ保有されています。WKDはピーク時に15分間隔で、その他の時間帯は30分間隔で運行されます。ただし、0時から午前5時までは運行が休止します。その中で、終点はグロヂスク・マゾヴィェツキ・ラドンスカ駅で、主にこちらの路線での運行が中心です。

所要時間については、起点のWKDワルシャワ・シルドミエシチェからグロヂスク・マゾフシェ・ラドンスカまでの所要時間は約1時間で、快速運転は行われていません。さらに、ポーランド国鉄との接続線が存在しますが、定期便は運行されていません。

車両の種類

WKDではさまざまな形式の車両が使用されています。以下にその特徴ある車両を紹介します。

EN80形

1927年の開業時に導入されたイングリッシュ・エレクトリック製の電車で、両運転台の電動車と付随車が編成を構成します。1948年には付随車の増備も行われ、1972年まで運用されました。現在は電動車1両が動態保存されています。

EN94形

国営車両工場で製造された2車体連接車で、1969年から1972年にかけて量産されました。通常は2編成連結して使用され、2016年には営業運転から退役しましたが、現在も1編成が保存されています。

EN95形

PESA社が製造した低床構造の連接車で、試作的要素が強く、故障の問題もありました。しかし、1編成のみが導入されました。

EN97形

こちらもPESA社製で、低床構造の3車体連接車です。営業運転は2012年から始まり、鉄道車両研究所の協力もありました。

EN100形

Newag社が製造した形式で、営業運転は2016年から始まりました。こちらも低床構造の連接車です。

まとめ

ワルシャワ通勤鉄道は、その歴史的な経緯と多様な車両群により、地域の重要な交通手段として利用されています。通勤者や観光客にとって、便利さと快適さを提供する鉄道として今後も発展していくことが期待されています。

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