ワレンチン・カターエフ

ワレンチン・ペトローヴィチ・カターエフ（Valentin Petrovich Kataev、ロシア語: Валенти́н Петро́вич Ката́ев、1897年1月16日 - 1986年4月12日）は、ソビエト連邦を代表する小説家の一人です。

生涯

カターエフは、1897年にウクライナのオデッサで生まれました。幼い頃から詩作に才能を発揮し、10歳で既に詩を書き始めていたと言われています。若き日は文学への情熱を抱きながら、第一次世界大戦が勃発すると、兵士として従軍することになります。この戦争体験は、彼の作品に大きな影響を与えました。戦場での兵士たちの生活を克明に描いたルポルタージュは、彼の初期の作品群を特徴づける要素となっています。

戦後、カターエフは1920年代にモスクワへ移り住み、作家としての活動を本格化させます。ソビエト内戦をテーマにした作品は、彼の名を広く知らしめるきっかけとなりました。1932年に発表された「時よ、前進！」は、社会主義政権を擁護する立場を明確に打ち出した作品として知られています。この作品は、彼の思想的な立場を示すと同時に、ソビエト文学における重要な作品の一つとして評価されています。

作品の特徴

カターエフの作品は、リアリズムに基づいた描写が特徴です。彼は、自らの経験や見聞を基に、登場人物たちの感情や社会の状況を生き生きと描き出しました。彼の代表作とされる『黒海の波』4部作は、オデッサを舞台に、様々な人々の生活、愛憎、社会の変化を壮大なスケールで描いた長編小説です。この作品は、彼の文学的な才能を余すところなく発揮した作品として、高く評価されています。

また、カターエフはダシドルジーン・ナツァグドルジを「モンゴルのプーシキン」と評したことでも知られています。この評価は、ナツァグドルジの文学的な才能を的確に捉えたものとして、広く受け入れられています。

日本語訳された主な作品

カターエフの作品は日本でも翻訳されており、その文学的な魅力に触れることができます。

「孤帆は白む」：集英社世界文学全集に収録。
「草原の家」：新日本出版社世界革命文学選に収録。
「連隊の子」：講談社少年少女世界文学全集に収録。

参考文献

カターエフについてより深く知るためには、以下の文献が参考になります。

集英社世界文学事典（水野忠夫執筆）

カターエフは、その生涯を通じて、ソビエト社会の変遷を背景に、人間ドラマを描き続けた作家でした。彼の作品は、社会主義リアリズムの文学的遺産として、今日でも多くの読者に読まれています。

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