ワン切り

ワン切りとは

ワン切りとは、電話を1～2回だけコールしてすぐに切る行為を指します。この行為によって、相手の着信履歴に発信者の電話番号が残ります。かつては、限られたグループ間で、通話料金をかけずに簡単なメッセージを伝える手段として利用されていました。

ワン切りの歴史と変遷

携帯電話が普及する以前は、家族や友人などの間で、特定の呼び出し回数に意味を持たせ、通話料金をかけずに意思伝達を行う方法として使われていました。しかし、スマートフォンの普及とともに、その利用方法が変化し、悪質な詐欺や不当請求に悪用されるケースが増加しました。

法的な規制

現在では、ワン切りは有線電気通信法によって規制されています。営利目的で、通話を行わずに多数の相手に電話をかけ、着信のみを通知する行為は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。これは、自動的に連続発信する機能を持つ装置を使った場合に適用されます。

ワン切りの悪用

過去の悪用例

過去には、ワン切りを使って有効な電話番号リストを作成し、ハローページなどの過去の電話帳と照合して、加入者の名前や住所を特定し、悪質な商法に利用されていました。また、初期のパーソナルコンピュータとモデムを用いて、自動的に多数の電話番号に発信するプログラムを作成し、不当請求や架空請求、振り込め詐欺の前段階として利用されることもありました。

近年の悪用例

近年では、ランダムに電話番号を発信するRDD（Random Digit Dialing）を利用して、無差別にワン切りが行われるケースが増えています。着信履歴に気づいた人が折り返し電話をかけると、国際電話料金が発生したり、高額な情報サービスやアダルトサイトに誘導され、不当な料金を請求される詐欺の手口も存在します。

通信事業者の対応

NTTなどの通信事業者は、ワン切りを「機械的不完了呼」とみなし、回線輻輳の原因となるため、契約約款を改定して、ワン切りを悪用した場合は回線の解約や停止措置を取る場合があります。また、NTTドコモの電話番号に対して、テレビ電話からワン切りを行い、契約者がFOMAを利用しているかどうかを確認する行為も確認されています。

ワン切りへの対策

基本的な対策

最も重要な対策は、身に覚えのない電話番号からの着信には、むやみに折り返さないことです。もし、相手を確認する必要がある場合は、184を付けて非通知で発信するか、公衆電話を利用するようにしましょう。

被害に遭った場合の対処法

もし、自分の意思に反して有料サービスに誘導され、料金を請求された場合は、契約は無効です。国民生活センターや地方自治体、司法などに相談し、支援を求めるようにしましょう。

携帯電話会社の提供サービス

各携帯電話会社では、ワン切り対策として以下のようなサービスを提供しています。

NTTドコモ：「番号通知お願いサービス」
au：「番号通知リクエストサービス」
SoftBank：「ナンバーブロック」

これらのサービスを利用して、迷惑な着信をブロックすることも有効な対策となります。

まとめ

ワン切りは、かつては便利なコミュニケーションツールでしたが、現在では悪質な詐欺や不当請求の手段として利用されることが増えています。不審な電話番号には警戒し、安易に折り返さないように注意することが重要です。もし被害に遭ってしまった場合は、一人で悩まず、専門機関に相談しましょう。

参考資料

日本語俗語辞典
NTTドコモのワン切りに関する記述

関連項目

迷惑電話
不在着信の符丁化
テレネーム

外部リンク

* 特定の回線からの多数の機械的不完了呼発信による輻輳への対応について（東日本電信電話・西日本電信電話）

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