ワーナー・バクスター

ワーナー・バクスター

ワーナー・バクスター（Warner Baxter）は、1889年3月29日にオハイオ州コロンバスで生まれ、1951年5月7日に逝去したアメリカの映画俳優です。彼は1929年の第2回アカデミー賞で主演男優賞を受賞し、輝かしいキャリアを築きました。

経歴

バクスターは、彼の幼少期から非常に低い経済状況に育ちました。母親が未亡人となり、彼が9歳の時にサンフランシスコに移住しました。1906年のサンフランシスコ地震では、彼の一家は猛火の中で約2週間テント生活を強いられるという苦難を経験しました。この時の厳しい環境が、彼の将来に影響を与えたと言われています。

彼は初め農業機械のセールスマンとして働きながら、趣味で始めた素人劇団に参加。1910年には、第一次世界大戦による演技者不足の影響を受け、ヴォードヴィルに転身しブロードウェイでの舞台や映画出演を果たしました。彼は次第に映画専業の俳優となり、サイレント映画の時代には自身のスマートな口髭をトレードマークに、多くのメロドラマで名を馳せました。

映画キャリア

バクスターはトーキー時代に突入しても俳優としての活動を続けましたが、彼の存在は徐々に薄れていきました。しかし、1929年の映画『懐しのアリゾナ』では、無法者「シスコ・キッド」を演じ、その演技が評価されアカデミー主演男優賞を受賞しました。この作品はO・ヘンリーの小説を原作としており、彼にとっての大きな転機となりました。

その後もバクスターは『シスコ・キッド』や『アリゾナ怪盗異聞』などの西部劇に出演し、1933年には最も多くの収入を得た男優となります。しかし、1930年代後半から彼の人気は次第に低下し、1940年代には主演作品がB級映画に偏っていきました。

晩年と健康問題

不運なことに、彼は1940年代に神経衰弱に苦しむようになり、その上で関節炎にもかかりました。耐えがたい痛みに直面した彼は、脳の前頭葉を切除するロボトミー手術を受ける決断をしました。それでも彼は映画への情熱を失わず、出演を続けましたが、1951年に肺炎により62歳の若さで生涯を閉じました。

主な出演作品

バクスターは数多くの作品に出演し、サイレント映画からトーキー、さらには西部劇の名作まで幅広く活動してきました。以下に彼の代表作を挙げます:

• - 『金色の寝床』（1925年）
• - 『或る男の一生』（1926年）
• - 『懐しのアリゾナ』（1928年）
• - 『熱砂果つるところ』（1929年）
• - 『アリゾナ怪盗異聞』（1930年）
• - 『シスコ・キッド』（1931年）
• - 『四十二番街』（1933年）
• - 『奴隷船』（1937年）

バクスターのキャリアは、多くの影響を与え、映画史に名を刻んだ俳優として評価されています。

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