ワーナー・ブラザース・スタジオ・リーブスデン

ワーナー・ブラザース・スタジオ・リーブスデンは、イギリスにあるワーナー・ブラザースの映画撮影所です。ロンドンから北西に約30キロメートル離れた場所に位置し、かつてはイギリス空軍の飛行場だった広大な敷地を利用しています。

歴史

この場所の歴史は、1940年に建設されたリーブスデン飛行場に遡ります。第二次世界大戦中、航空機メーカーのデ・ハビランド社と空軍省が協力し、爆撃機モスキートやハリファックスといった軍用機を製造していました。戦時中には世界最大の航空機工場となり、終戦後もデ・ハビランド社が飛行場を買い取りましたが、その後、所有権はホーカー・シドレー、ロールス・ロイスへと移り変わります。ロールス・ロイス時代にはヘリコプター用エンジンの設計・製造が行われていましたが、1990年代に製造業の衰退とともに閉鎖されました。

1994年、映画制作会社イーオン・プロダクションズは、ジェームズ・ボンドシリーズ『ゴールデンアイ』の撮影場所を探していました。通常使用していたパインウッド・スタジオが使えなかったため、放棄されていたリーブスデン飛行場に目をつけました。広大な格納庫は映画スタジオに転用するのに適しており、『ゴールデンアイ』の撮影を機にリーブスデンは映画スタジオとして再出発しました。その後、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス|スター・ウォーズ エピソード1_ファントム・メナス』や『スリーピー・ホロウ』などの撮影にも使用され、映画スタジオとしての評価を高めていきました。

2000年からは、『ハリー・ポッター』シリーズの撮影が開始され、10年間にわたり8作品がここで制作されました。この間、スタジオはほぼ『ハリー・ポッター』専用でしたが、『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』や『シャーロック・ホームズ』など、他の作品も一部利用しました。しかし、元々が格納庫だったため、音漏れや雨漏りの問題も抱えていました。また、『ハリー・ポッター』シリーズでは、屋外にもプライベット・ストリートなどのセットが作られ、撮影に使用されました。シリーズ最終作の撮影中には火災が発生しましたが、すぐに鎮火されています。

2010年、配給元のワーナー・ブラザースはスタジオを買収し、ヨーロッパの撮影拠点とすることを発表しました。1億ポンド以上の投資を行い、スタジオを大幅に改修しました。サウンドステージの改装、最新機材の導入に加え、旧飛行場の滑走路や管制塔も保存されました。これらの改装は1年以上を要し、2012年からスタジオとしての利用が再開されました。

改修の一環として、『ハリー・ポッター』シリーズのセットや衣装を展示する「ワーナーブラザース スタジオツアーロンドン-メイキング・オブ・ハリー・ポッター」が2012年春に開設され、新たな雇用も創出しました。改修後、最初に撮影された映画は『オール・ユー・ニード・イズ・キル』です。現在は、ワーナー・ブラザースがスタジオを所有していますが、他の制作会社にも貸し出しを行っています。

2014年には、3つの新しいステージと事務スペースが追加されました。これらの新設ステージは、『バービー』やテレビドラマ『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の撮影に使用されています。2023年9月には、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーが、このスタジオをDCスタジオの主要拠点とすることを発表し、スタジオの拡張計画を明らかにしました。これにより、サウンドステージとプロダクションスペースが大幅に増加し、新たな雇用と経済効果が見込まれています。


現在では、多くの映画やテレビドラマの撮影が行われており、映画産業において重要な拠点となっています。

もう一度検索