ワールドラグビーパシフィックチャレンジ

ワールドラグビーパシフィックチャレンジ

「ワールドラグビーパシフィックチャレンジ」は、ラグビーユニオンにおける国際的な育成大会です。ワールドラグビーおよびオセアニアラグビーの共催により、2006年からオセアニア地域を中心に毎年開催されています。本大会は、各国のナショナルチームでの国際試合出場経験を持たない、主に23歳以下の選手で構成される「A代表」（第2代表）チームによって争われます。これは、将来を担う若手選手の競技力向上と国際経験の機会を提供することを主要な目的としています。

沿革

大会は、その歴史の中で幾度か名称と形式を変更してきました。始まりは2006年、「パシフィック・ラグビー・カップ」として開催されました。この時期（2010年まで）は、フィジー、サモア、トンガの太平洋島嶼国からそれぞれ2チームが参加し、年齢制限は設けられていませんでした。

2011年から2014年にかけては、「パシフィックラグビーカップ・オーストラリアシリーズ」と改称され、大会形式が大きく刷新されました。この期間から、対象が「23歳以下の選手によるA代表（第2代表）」チームとなり、オーストラリアの学生チームやクラブチームも一時的に参加しました。

日本は、この新しい形式に対応するため、2012年度に若手選手育成プログラム「ジュニア・ジャパン」を立ち上げました。そして、2013年からこのプログラムの一環として結成されたU23世代のA代表チーム「ジュニア・ジャパン」として本大会への参加を開始しました。

現在の名称である「ワールドラグビー パシフィックチャレンジ」となったのは2015年大会からです。この名称変更後、2015年には一時的にカナダやアメリカ合衆国も参加するなど、参加国の幅が広がったこともありました。

特徴と意義

本大会の最大の特徴は、各国の有望な若手選手に国際レベルでの実戦経験を積ませる育成の場である点です。特に、太平洋島嶼国の選手にとっては重要な機会であり、2018年以降は、大会での活躍がワールドラグビーが資金を提供する「パシフィック・コンバイン」という1週間の選手育成プログラムへの参加権利に繋がる仕組みも導入されています。これは、彼らのキャリア形成において重要なステップとなっています。

日本代表の参加と成果

日本代表チームは「ジュニア・ジャパン」、近年は「JAPAN XV」として本大会に継続的に参加し、目覚ましい成果を上げています。2017年からは3大会連続で準優勝という好成績を収め、迎えた2020年大会では、ついに初優勝を飾りました。これは、日本の若手育成プログラムの成果を示すものと言えます。

しかし、2021年および2022年は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響により大会は中止を余儀なくされました。

大会再開後の2023年大会では、日本の参加チームの構成に変化がありました。通常はU23世代で構成される「ジュニア・ジャパン」として参加するところ、この年はU20日本代表が「ジュニア・ジャパン」として出場しました。これにより、他国のU23チームと比較して年齢的に不利な条件での戦いを強いられました。

直近の大会である「ワールドラグビーパシフィックチャレンジ2024」（2024年4月開催）では、日本、フィジー、サモア、トンガの4カ国によるU23 A代表育成大会として実施されました。チーム構成要件として「2024年4月10日時点で23歳以下の選手23名と、18歳以上で年齢を問わない5名の選手」が明示され、日本はU20日本代表のメンバーを主体としつつ、数名のシニア選手（21歳）を加えた「JAPAN XV」というチーム名で参加しました。この大会で、日本は4年ぶり（中止期間を挟んで2大会ぶり）となる優勝を果たし、改めて日本の若手選手のポテンシャルを示しました。

関連

本大会に関連する日本のチーム・プログラムとして、「JAPAN XV」、「U20ラグビー日本代表」、そしてかつてU23世代で出場した「ジュニア・ジャパン」などが挙げられます。

もう一度検索