ワールド・アルマナック

『ワールド・アルマナック・アンド・ブック・オブ・ファクツ』は、アメリカで発行されている歴史ある年鑑です。その起源は1868年に遡り、ニューヨーク・ワールド紙によって創刊されました。当初は『ワールド・アルマナック』という名称で、新聞社の略称に由来しています。

創刊当初は120ページで、南北戦争終結直後のアメリカ社会の状況、リンカーン大統領の暗殺事件、そしてリコンストラクションの過程やジョンソン大統領の弾劾など、当時の政治的な出来事を記録していました。

1876年に一度刊行が中断されましたが、1883年にジョーゼフ・ピューリツァーがワールド紙を買収し、1886年に『普遍的な知識の大要』として復刊させました。それ以来、この年鑑は毎年刊行され続けています。

1894年には、『ワールド・アルマナック・アンド・エンサイクロペディア』と改称し、当時50万人以上の読者に利用されていたとされています。20世紀に入ると、1906年にはニューヨーク・タイムズ紙が、この年鑑を「40年前の『ホイッティカー年鑑』に次ぐ確固たる地位を確立した」と評しました。

1923年には現在の名称である『ワールド・アルマナック・アンド・ブック・オブ・ファクツ』に改題されました。アメリカの著名な政治家もこの年鑑を資料として活用しており、カルビン・クーリッジ大統領の父親は息子が大統領になった際に、またジョン・F・ケネディ大統領やビル・クリントン大統領もこの年鑑を参考にしていたことが写真で確認されています。

ワールド紙が1931年にスクリップス社に買収され、新聞が廃刊となった後も、『ワールド・アルマナック』は存続しました。第二次世界大戦中には、アメリカ軍兵士（GI）の間で広く読まれ、1944年から1946年の間にはアメリカ政府の要請で特別版が発行され、軍に配布されました。1985年版は176万部以上を売り上げ、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストで1位を獲得しました。

1995年から2014年までは、子供向けの『ワールド・アルマナック・フォー・キッズ』も発行されていました。1993年にスクリップス社からK-III（後のプリメディア）に、1999年にはWRCメディアに所有権が移り、その後、『リーダーズ・ダイジェスト』誌を発行するリーダーズ・ダイジェスト・アソシエーションが制作を担当しました。2009年にはインフォベース出版に、2020年にはスカイホース出版に売却されています。

編集体制としては、1980年代半ばには10人のスタッフによって編集されており、内容の20%が毎年ほぼ変わらず、50%がわずかに更新され、30%が全く新しい内容で構成されていました。

『ワールド・アルマナック』には、以下のような項目が掲載されています。

Surprising Facts（意外な事実）
Number Ones（様々な一番）
Americans By the Numbers（数字で見るアメリカ人）
Milestone Birthdays（記念すべき誕生日）
Notable Quotes（注目すべき名言）
Offbeat News（風変わりなニュース）
* Historical Anniversaries（歴史的な記念日）

この年鑑は、大衆文化にも影響を与えており、1985年のゲーム『Where in the World is Carmen Sandiego?』には購入特典として付属していました。また、映画にも度々登場しており、『深夜の告白』、『イヴの総て』、『昼下りの情事』、『三十四丁目の奇蹟』、『ハード・プレイ』、『アイ・アム・レジェンド』といった作品の中で、その存在が確認できます。

『ワールド・アルマナック』は、単なる年鑑としてだけでなく、アメリカの歴史や文化を映し出す鏡としても、重要な役割を果たしています。

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