ワールド・バイ・ナイトTODAY

ワールド・バイ・ナイトTODAY

『ワールド・バイ・ナイトTODAY』（原題：Mondo Di Notte Oggi、英題：World by Night Today）は、1975年にイタリアで製作されたドキュメンタリー映画です。この作品は、1959年に公開され、当時の社会に大きな反響を巻き起こしたドキュメンタリー映画シリーズ『世界の夜』の正統な続編として位置づけられています。前作から十数年の時を経て製作された本作は、当時の世界のナイトシーンにおけるエンターテイメントを記録した、いわゆる「夜モノ映画」のジャンルを代表する一本と言えるでしょう。

概説と背景

1959年に始まった『世界の夜』シリーズは、世界中の都市の夜の風景や、そこで繰り広げられる大人のためのエンターテイメントを紹介し、多くの観客の耳目を集めました。『ワールド・バイ・ナイトTODAY』は、そのコンセプトを継承しつつ、より多様で洗練された内容を目指した作品です。前作の公開から十数年の間に変化した世界のナイトライフやショービジネスの進化を捉え、当時の最新のエンターテイメントシーンを映像に収めています。単なる記録に留まらず、ショーの持つ華やかさやエロティシズムをより強く打ち出し、ジャンルとしての魅力を高めようとする意図が見られます。これは、前作に比べて内容がさらに「パワーアップ」したと評される所以でもあります。ショービジネスの世界をドキュメンタリー形式で描くことで、その時代の社会的な風俗や文化の一端を記録しています。

内容

本作で紹介される内容は、世界中の様々なナイトクラブや劇場で上演される、大人向けのエンターテイメントが中心です。具体的には、官能的なストリップ・ティーズや、華麗な衣装と演出で魅せるバーレスクショーが多数収録されています。中でも特筆すべきは、パリの伝説的なレビュー劇場「クレイジー・ホース」で行われるショーの紹介です。ここでは、女性の肉体の美しさを芸術的に表現する、洗練されたレビューが披露されます。また、驚きとスリルを兼ね備えたセクシーなアクロバットショーなど、様々なジャンルのパフォーマンスが収録されており、当時の夜のエンターテイメントがいかに多様であったかを示しています。これらの映像は世界各地から集められており、それぞれの土地の雰囲気や文化を反映したショーが楽しめるのも、この映画の魅力の一つです。当時の観客は、スクリーンを通して、遠い国の華やかなナイトライフを疑似体験することができました。まさに、世界の夜の最前線で繰り広げられるショービジネスの「今日（TODAY）」を切り取った作品と言えます。

スタッフ

本作の製作には、当時のイタリア映画界のスタッフが携わっています。主なスタッフは以下の通りです。

監督：ジャンニ・プロイア
製作：シルヴィオ・クレメンテッリ
脚本：ジャンニ・プロイア、ディヴィット・ミルズ
撮影：クラウディオ・ラゴーナ、ベニト・フラッタリ

日本での公開時には、日本語解説を俳優の山城新伍氏が担当し、その独特の語り口が話題となりました。また、字幕監修は岡枝慎二氏と遠藤淳氏が務めています。

関連事項

本作は、「夜モノ映画」というドキュメンタリーのサブジャンルに属しており、その代表的なシリーズである「世界の夜」の続編です。パリの「クレイジー・ホース」は、その後も様々なメディアで取り上げられ、『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』といったドキュメンタリー映画も製作されています。これらの関連作品やジャンルを通して、本作が持つ歴史的な位置づけや影響力を理解することができます。

『ワールド・バイ・ナイトTODAY』は、1970年代半ばにおける世界のナイトエンターテイメント、特にアダルトショービジネスの一断面を記録した貴重な映像資料であり、当時の風俗や文化を知る上でも興味深い作品と言えるでしょう。シリーズ作品としても、また単体のドキュメンタリーとしても、その時代の雰囲気を色濃く映し出しています。娯楽映画としての側面だけでなく、文化記録としても価値を持つ作品です。

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