ンクウェバサウルス

ンクウェバサウルス：アフリカ最古の謎めいた恐竜

南アフリカ共和国のカークウッド累層で発見されたンクウェバサウルス( Nqwebasaurus) は、後期ジュラ紀チトニアンから前期白亜紀バランジニアンに生息していた小型恐竜です。その学名は、化石発見地であるコーサ族の言葉に由来しており、発見当初は地層名にちなんで「カーキー」と呼ばれていました。

この恐竜は、ゴンドワナ大陸で発見されたコエルロサウルス類の中で最古のものであり、北アフリカの同種と比較して約5000万年古いと推定されています。アフリカで発見・命名された最初のコエルロサウルス類でもあることから、アフリカ大陸の恐竜進化史において非常に重要な位置を占めています。

貴重な化石標本

2000年、ド・クラークらによって記載された模式種 Nqwebasaurus thwazi の標本は、アフリカ産白亜紀獣脚類の中でも最も完全で保存状態の良いものとして知られています。この標本は、後期幼体のもので、全長約90cm、高さ約30cmと推定されています(尾部は発見されていません)。

注目すべきは、その手です。三本指の手には、部分的に向かい合わせることができる親指（鉤爪）があり、そして、胃石の存在も確認されています。胃石の存在は、この恐竜が植物食であった可能性を示唆する重要な証拠です。歯列の減少もこの説を裏付けています。

分類と議論

ンクウェバサウルスは、基盤的なオルニトミモサウルス類に分類されています。しかし、イタリアの古脊椎動物学者アンドレア・カウは、自身のブログで、危険な推測ではありますが、ンクウェバサウルスがメガラプトル類の幼体である可能性を示唆しています。この可能性については、さらなる研究と化石証拠の発見が待たれます。

初期オルニトミモサウルス類の特徴

ンクウェバサウルスの化石は、初期オルニトミモサウルス類の進化を理解する上で貴重な情報を与えてくれます。よく保存された骨格、そして胃石の存在は、その食性や生活様式についての手掛かりを与え、初期オルニトミモサウルス類の進化における位置づけを明らかにする上で重要な役割を果たしています。今後の研究によって、さらに詳細な生態や系統分類が解明されることが期待されます。

まとめ

ンクウェバサウルスは、アフリカ大陸における恐竜進化の歴史を紐解く上で重要な発見です。その貴重な化石標本から得られた情報は、初期オルニトミモサウルス類の進化や、ゴンドワナ大陸における恐竜の多様性について、多くの示唆を与えてくれます。今後の研究によって、この謎めいた恐竜の生態や分類がさらに明らかになることが期待されます。その発見は、古生物学の分野において、アフリカ大陸の恐竜研究の進歩に大きく貢献しています。そして、その謎めいた存在は、研究者たちの好奇心を刺激し続け、新たな発見への期待を高め続けています。

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