ヴァイオリン協奏曲第2番 (プロコフィエフ)

ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調作品63

セルゲイ・プロコフィエフが作曲したヴァイオリン協奏曲第2番ト短調作品63は、彼のヴァイオリンと管弦楽のための協奏曲の中でも特に重要な作品の一つです。

作曲の背景

1935年に作曲され、同年12月1日にスペインのマドリードで初演されました。独奏ヴァイオリンはロベール・ソエタン、指揮はエンリケ・アルボス、演奏はマドリード交響楽団が担当しました。

1930年代、プロコフィエフは故郷ソ連での成功を背景に、望郷の念を抱きつつありました。この頃、彼はフランス人ヴァイオリニストのロベール・ソエタンの演奏旅行に同行しており、その中でソエタンの後援者から、ソエタンに1年間の独占演奏権を与えることを条件に、新しいヴァイオリン協奏曲の作曲を依頼されました。

また、1932年に作曲した『2つのヴァイオリンのためのソナタ作品56』を、ポーランド出身のアメリカ人ヴァイオリニスト、サミュエル・ドゥシュキンと共演したことが、彼の創作意欲を刺激しました。プロコフィエフは、ドゥシュキンへの感謝の意も込めて、この新しいヴァイオリン協奏曲の作曲に取り組みました。

作曲の過程

作曲は、ソエタンとの演奏旅行の合間を縫って進められました。第1楽章はパリで、第2楽章の第1主題はロシア南西部の河港都市ヴォロネジで作曲されました。スケッチは5月下旬頃までに完成し、7月下旬頃にはピアノスコアが完成、8月中旬にはバクーでオーケストレーションが行われました。
初演は当初パリで行われる予定でしたが、結果としてスペイン・マドリードで行われることになりました。

楽曲の特徴

プロコフィエフの初期作品に見られた大胆さやグロテスクな表現は控えられ、より伝統的な作風になっています。しかし、彼の特有の旋律美とリズム感は健在で、聴衆を魅了します。この作品は、ヤッシャ・ハイフェッツによってモノラル時代とステレオ時代にそれぞれ録音され、作品の知名度向上に貢献しました。

楽器編成

独奏ヴァイオリン、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、大太鼓、小太鼓、トライアングル、シンバル、カスタネット、弦五部。

曲の構成

全3楽章で構成され、演奏時間は約26分です。

第1楽章：アレグロ・モデラート ト短調 4/4拍子
ソナタ形式で、力強くも抒情的な旋律が特徴です。

第2楽章：アンダンテ・アッサイ 変ホ長調 12/8拍子
3部形式で、ヴァイオリンの優美な旋律が印象的です。

第3楽章：アレグロ、ベン・マルカート 変ロ長調～ト長調 3/4拍子
ロンド形式で、スペイン風のリズムとカスタネットの響きが特徴的です。冒頭の旋律が再び現れ、曲を締めくくります。

この作品は、伝統的なロシア民謡に関連する素朴なヴァイオリンの旋律で始まります。第2楽章では、ヴァイオリンの優美な旋律が花開き、冒頭の旋律がヴァイオリン伴奏によるチェロ独奏の楽句として再び現れます。第3楽章のロンド主題にはスペイン趣味が認められ、ロンド主題が現れるたびにカスタネットの響きが伴います。

外部リンク

ヴァイオリン協奏曲第2番作品63の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)
Prokofiev：Violin Concerto No.2 in G minor, Opus63（英語） - サンフランシスコ交響楽団Webサイトより
Violin Concerto No.2 in G Minor (Sergei Prokofiev)（英語） - ロサンジェルス・フィルハーモニックWebサイトより
Sergei Prokofiev Violin Concerto No.2 in G minor, Op.63（英語） - ロックフォード交響楽団Webサイトより
About the Work - Violin Concerto No.2 in G minor, Op.63（英語） - ジョン・F・ケネディ・センターWebサイトより

もう一度検索