ヴァシリコ・ロスチスラヴィチ

ヴァシリコ・ロスチスラヴィチ：テレボヴリ公として生きた波乱の生涯

ヴァシリコ・ロスチスラヴィチ（1066年頃 - 1124年）は、トムタラカニ公ロスチスラフ・ウラジーミロヴィチの息子として生まれました。彼の生涯は、ルーシの内乱と周辺諸国との紛争に翻弄されるものでした。

生い立ちと公位継承

父の死後、ヴァシリコは兄たちと共にトムタラカニから追放されました。1080年代には、ウラジーミル・ヴォリンスキーを巡り争いを繰り広げ、一時占領に成功するも、キエフ大公フセヴォロド1世によって排除されます。その代償として、ヴァシリコはテレボヴリ公の地位を与えられ、ペレムィシュリ、ズヴェニゴロドと共に新たな公国を形成することになります。

ポロヴェツ族との関係

歴史家のヴァシリエフスキーの仮説によれば、1091年にヴァシリコはポロヴェツ族のハンであるボニャーク、トゥゴルカンと共にビザンツ帝国へ遠征し、ペチェネグ族と戦ったとされています。この説は、ビザンツ帝国の歴史家アンナ・コムネナの記述に基づいています。いずれにせよ、ヴァシリコは1090年代初頭にはポロヴェツ族と親密な関係を築き、1092年には彼らと共にポーランドへ遠征しています。

リュベチ諸公会議と悲劇

1097年、リュベチ諸公会議において、ヴァシリコはテレボヴリを世襲領として領有することを認められました。しかし、その後、キエフ大公スヴャトポルク2世とヴォルィーニ公ダヴィドによって捕らえられ、両目を抉られるという悲劇に見舞われます。彼はキエフ近郊のズヴェニゴロドに監禁され、この事件はルーシ諸公間の内乱の引き金となりました。

内乱と抗争

ダヴィドがテレボヴリを奪おうとしたことにヴァシリコの兄ヴォロダリが反発し、ダヴィドを包囲しました。ダヴィドはヴァシリコの解放を余儀なくされ、その後、ヴァシリコとヴォロダリは再びダヴィドを攻撃し、ウラジーミル・ヴォリンスキーを包囲します。また、ウラジーミル・モノマフをはじめとする諸公は、スヴャトポルク2世にダヴィド追討軍を起こすことを強要し、ダヴィドはウラジーミル・ヴォリンスキーから追放されました。

しかし、その後、スヴャトポルク2世とチェルニゴフ公ダヴィドの子スヴャトスラフの連合軍はヴァシリコとヴォロダリを攻撃し、1099年のロジュナ平原の戦いで敗北を喫します。さらに、スヴャトポルク2世はハンガリー王カールマーンにヴァシリコの領土を攻撃するよう要請し、ハンガリー軍がペレムィシュリへ進軍します。しかし、ハンガリー軍はヴャグル川で、ヴァシリコらの援軍として参戦したポロヴェツ族と、先にウラジーミル・ヴォリンスキーから追放されていたダヴィドによって壊滅的な敗北を喫しました。

その後と最期

1117年には、ヴァシリコはウラジーミル・モノマフと連携し、ヴォルィーニ公となったスヴャトポルク2世の子ヤロスラフと戦いました。一方、1123年にはそのヤロスラフと連携し、新たにヴォルィーニ公となったウラジーミル・モノマフの子アンドレイと戦っています。ヴァシリコは死を迎えるまで、テレボヴリ公位の座にあり続けました。

子孫

イヴァン
ロスチスラフ

ヴァシリコ・ロスチスラヴィチの生涯は、ルーシの諸公国が分立し、互いに争いを繰り返していた時代の縮図と言えるでしょう。彼の足跡は、ルーシの歴史に深く刻まれています。

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