ヴァシーリー・ルキーチ・ドルゴルーコフ

ヴァシーリー・ルキーチ・ドルゴルーコフ公の生涯と功績

ヴァシーリー・ルキーチ・ドルゴルーコフ公（1672年 - 1739年）は、ロシア帝国の重要な外交官であり、ピョートル2世の治世において最高権力者の座にあった政治家です。その姓はドルゴルーキーとも呼ばれ、名門ドルゴルーコフ家に属していました。彼がどのようにしてその地位を築いたのか、また最終的にどのような運命を辿ったのかを見ていきましょう。

初期の経歴と西欧での教育

ドルゴルーコフは、ロシアの歴史的な王朝であるリューリク朝に起源を持つ名門出身です。ピョートル1世の指示のもと、彼は1687年から1700年までパリに滞在し、当時の最初の留学生の一人として西洋の文化や言語に親しみました。ドルゴルーコフはこの間に複数の西欧言語を習得し、またヴェルサイユ宮廷の華やかさや洗練された作法に感銘を受けました。さらに、イエズス会の修道士と交流することで、彼らの道徳観にも影響を受けました。

外交官としての活動

彼が帰国後、ドルゴルーコフは外交官庁に所属し、ポーランド・リトアニア共和国に使節を派遣する任務に従事しました（1706年‐1707年）。その後、デンマークに駐在する公使に任命され、フレデリク4世に対し、スウェーデン王カール12世との同盟の継続を断念させるよう説得することに成功しました。1720年には再びヴェルサイユに赴き、スウェーデンとの休戦交渉をフランスに依頼し、さらにピョートル1世が名乗りたいと考えていた「ロシア皇帝」の称号を承認させるために努力しました。

ピョートル2世の治世と権力闘争

1727年にピョートル2世が即位すると、ドルゴルーコフは最高枢密院のメンバーに選出され、実権を握っていたメーンシコフの失脚を計画します。その結果、幼い皇帝と自分の従弟アレクセイの娘であるエカチェリーナとの婚約を取り付けました。しかし、ピョートル2世は急死し、ドルゴルーコフはクールラント公妃アンナ・イヴァノヴナを擁立することになります。彼は彼女に即位の際に君主権を制約する条件を設けさせ、これにより実権を保持しようとしましたが、アンナはその条件を拒絶しました。

最後の運命

1730年4月17日、ドルゴルーコフは政権に反する動きと見なされ、全ての官職と名誉を剥奪され、邸宅を奪われた後、ソロヴェツキー修道院に追放されます。彼は9年後、ピョートル2世の遺言書から発見された罪によって告発され、拷問を受けた末、1739年11月8日にノヴゴロドで斬首されるという悲劇的な最期を迎えました。

ドルゴルーコフの生涯は、ロシアの権力闘争や外交の複雑さを象徴するものです。彼の晩年は栄光の裏にあった敗北を物語っていますが、彼の外交手腕や西欧文化の影響は、ロシア史において重要な位置を占めています。

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