ヴァシーリー2世

ヴァシーリー2世の生涯と業績

ヴァシーリー2世（Василий II、1415年3月10日 - 1462年3月27日）はモスクワ大公として2回にわたり在位し、内戦を乗り越えて大公国の統一に尽力した重要な歴史的人物です。彼はヴァシーリー1世の次男であり、母はリトアニア大公ヴィータウタスの娘ソフィヤでした。ヴァシーリー2世は、いくつかの内戦を経てモスクワの大公位を取り戻し、国家の安定を図ったことで知られています。

若き日のヴァシーリー2世

ヴァシーリー2世は、父の後を継ぐ形で1425年に大公となりましたが、彼の統治の初期は内戦によって混乱に満ちていました。この内戦は、祖父ドミトリイ・ドンスコイの遺言に起因し、ヴァシーリー1世がヴァシーリー2世を後継者に指名したことで、従弟のユーリー・ドミトリエヴィチが不満を抱きました。

この対立は、ユーリー、ヴァシーリー・コソイ、ドミトリー・シェミャーカ、ドミトリー・クラスヌィーの家系との抗争へと発展し、1420年代から1450年代にかけて続きました。ユーリー側は年長制相続を主張し、特にユーリーの支持を受けることで力を持ちました。しかし、ヴァシーリー2世の母ソフィヤがヴァシーリー・コソイから侮辱を受けた事件がきっかけとなり、軍事衝突が勃発しました。

内戦の混乱と逆境

戦いはヴァシーリー2世にとって厳しいものでした。1434年にはユーリーがモスクワを支配しましたが、モスクワの貴族たちはヴァシーリー2世を支持し、ユーリーの政権は長続きしませんでした。1434年にユーリーが死去すると、ヴァシーリー2世は再び政権を握るチャンスを得ますが、彼もヴァシーリー・コソイとの争いに巻き込まれます。今度はコソイの弟であるドミトリー・シェミャーカとの競争が展開されました。

捕らえられた大公

1445年、ヴァシーリー2世はスーズダリの戦いにおいてカザン・ハン国の軍に捕らえられました。それに伴い、莫大な身代金が要求され、ヴァシーリー2世は支払いを余儀なくされました。釈放された後、一時的にドミトリー・シェミャーカとの抗争に勝利しましたが、盟友を失った結果、支持を失って孤立してしまいました。

再起と勝利

ヴァシーリー2世は幽閉されましたが、貴族たちの反発によって救出され、その後トヴェリに逃れて再びモスクワを奪還しました。1450年には、シェミャーカの本拠を陥落させ、1453年にはシェミャーカを亡き者にし、ついにその抗争に勝利を収めました。これにより彼の権力は強固なものとなり、国内政策の充実を図ることができました。

ノヴゴロドとの関係

内部問題を整えたヴァシーリー2世は、敵対していたノヴゴロドに対して攻撃を仕掛け、1456年にヤジェルビーツィ条約を結びました。この条約により、ノヴゴロドの独立性を削ぐことに成功しました。

最期と後継者

1462年3月、ヴァシーリー2世は病に襲われました。彼は自己治療のために火を使った木片を肌にあてた結果、火傷の傷が悪化し、亡くなりました。享年48歳でした。息子のイヴァン3世がその後を継ぎ、さらなる国の発展を遂げることに貢献します。

ヴァシーリー2世の生涯は、戦乱の中にあっても国家の統一に向けた強い意志と努力を示すものであり、彼の功績は今日まで語り継がれています。

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