ヴァフタング6世 (カルトリ国王)

ヴァフタング6世の生涯と業績

ヴァフタング6世（グルジア語: ვახტანგ VI, ロシア語: Вахтанг VI、1675年9月15日 - 1737年3月26日）は、グルジア東部カルトリ王国の国王であり、バグラティオニ朝の君主です。彼は「学者王」または「立法王」と称され、著名な政治家、立法者、批評家、翻訳者、詩人としても知られています。その治世は1716年から1724年にわたりましたが、彼の生涯には多くの波乱がありました。

摂政時代と初期の治世

ヴァフタング6世は、王子レヴァンと妃トゥータの次男として誕生し、1703年から1712年にかけて伯父ギオルギ11世と共に摂政として国を治めました。この期間中、彼は経済や文化の復興に寄与し、特に1711年から1714年にかけてグルジアの封建制度を改訂する法案、いわゆる「ヴァフタング法」を導入しました。この法案はグルジア社会における重要な変更をもたらしました。

しかし、1712年、ペルシャのシャー・スルターン・フサインに召還され、改宗の条件を持ちかけられましたが、彼はこれを拒否し投獄されてしまいます。その後、異母弟が王位を継承しましたが、彼の独自の外交努力は無駄に終わります。

ペルシャからの圧力とロシアとの関係

脱藩した後、ヴァフタングはロシアと密接な関係を築くことを模索しました。彼は1716年に改宗し、フサイン・クリー・ハーンと名乗るも、依然としてペルシャに留め置かれました。しかし、1719年にようやく帰国を許可されると、彼は北のダゲスタンからの襲撃に直面します。ヴァフタング6世はロシア皇帝ピョートル1世との連携を図り、ペルシャの反対に立ち向かうための軍事的支援と協力を得ることを試みます。

治世の苦難と亡命

1724年、オスマン帝国による侵略が激化し、ヴァフタング6世は再びロシアへ亡命することを余儀なくされます。彼は忠臣たちと共にコーカサスを越えてロシアに到達し、その後、ロシアの支援を得ようと努力しましたが、実を結ぶことはありませんでした。エカチェリーナ1世からの具体的な援助も得られず、彼はロシア国内で比較的静かな生活を送ることになります。1734年、ペルシャのナーディル・シャーと協力して領土回復を試みるも、病気となり1737年にアストラハンで死去しました。

学術・文化活動

政治家としての彼の行動には批判も多かったものの、文化活動においては彼の業績が際立っています。ヴァフタング6世は、グルジアの学問の復興を目指し、教育や文化に関する複数のプロジェクトを企画・主催しました。特に彼は、1709年にグルジアで初めての活版印刷を設立し、作品『豹皮の騎士』に自らの批評を添え、グルジア文学のルネサンスを促しました。

また、キリスト教信仰に基づく書物の印刷に注力し、福音書や詩篇などを広める活動を行いました。彼の詩も数多く残され、愛国的でロマンティックな要素を持つ内容が多いです。彼は歴史の編集や資料集めの活動にも力を注ぎ、多くの学問的成果を挙げました。

改葬と家族

彼の遺体は後にアストラハンの教会に埋葬されましたが、2013年にはグルジア政府が彼の遺骨の改葬を提議しました。家族については、彼は西グルジアの王女ルスダンと結婚し、数人の子供を持ちましたが、複数の婚外子も存在しました。

ヴァフタング6世の治世は、ペルシャやオスマン帝国の圧力の中で波乱に満ちていましたが、彼の文化的貢献と学術的な取り組みは、今も多くの人々に記憶されています。

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