ヴァランシエンヌ包囲戦 (1676年-1677年)

ヴァランシエンヌ包囲戦

ヴァランシエンヌ包囲戦は、仏蘭戦争中の1676年11月から1677年3月にかけて行われた戦闘です。フランス王国軍が当時スペイン領ネーデルラントの一部であったヴァランシエンヌを包囲し、1677年3月17日に降伏させました。この勝利により、ヴァランシエンヌは戦争を終結させたナイメーヘンの和約で正式にフランスに割譲されることとなりました。

背景

ザスバッハの戦いでテュレンヌ子爵が戦死した後、フランス軍はライン川を渡って撤退を余儀なくされました。フランス王ルイ14世は、テュレンヌ子爵の後任としてコンデ公ルイ2世を任命しました。コンデ公は、神聖ローマ帝国の将軍ライモンド・モンテクッコリの進軍を食い止め、サヴェルヌとアグノーを奪取するなどの戦果を挙げました。しかし、痛風に苦しんだコンデ公はシャンティイで引退を決意し、皇帝軍でもモンテクッコリが引退しました。ルイ14世はコンデとブシャンを占領したため、それ以上の戦闘は継続しませんでした。

包囲

1676年11月、フランスのルーヴォワ侯爵はヴァランシエンヌを包囲しました。スペインがヴァランシエンヌに補給を輸送するのを防ぐため、サントメールとカンブレーも同時に包囲するという作戦が実行されました。ヴァランシエンヌの守備軍は、近隣地域を浸水させ、増援を待ちました。

ヴァランシエンヌへ向かったルイ14世には、ユミエール公爵、ションベール、ラ・フイヤード公爵、リュクサンブール公爵、ロルジェ公爵など、数多くの元帥が同行しました。包囲の指揮は、当時フランス最高の築城技術者であったセバスティアン・ル・プレストル・ド・ヴォーバンが担当しました。

ヴォーバンの計画は、通常の包囲戦術とは異なり、堡塁や半月堡などの防御工事を攻撃せず、敵軍に察知されるのを避けるというものでした。元帥たちの助言に反し、またルイ14世が驚いたことに、ヴォーバンは昼間に攻撃を仕掛け、敵軍の不意を突くという奇策に出ました。徹夜の見張りからまだ十分に回復していなかった敵軍は、この奇襲に対応することができませんでした。

強襲

3月17日の午前9時、マスケット銃兵2個中隊、擲弾兵100人、近衛兵1個大隊、そしてピカルディ連隊がグラン・クロンヌ（Grand Couronne）を越えて突入しました。守備軍は完全に不意を突かれ、マスケット銃隊が跳ね橋を下ろして入城するのを阻止することができませんでした。事態を重く見たヴァランシエンヌの市議会は直ちに会合を開き、ルイ14世に代表を派遣して降伏交渉を開始しました。その結果、ヴァランシエンヌはフランス軍に降伏し、フランス王国の支配下に入ることになったのです。

参考文献

* France Annales historiques De Philippe Le Bas, 1843.

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