ヴァリャーグ (空母)

ヴァリャーグの概要

「ヴァリャーグ」は、ソビエト連邦で設計された航空母艦であり、その名称はロシア語で「ヴァイキング」を意味します。この艦は、ソ連海軍において重航空巡洋艦として分類され、1143.5設計の重航空巡洋艦の2番艦にあたる1143.6設計の艦です。艦は1985年に建造が開始され、1988年に進水しましたが、ソ連崩壊後にはロシア海軍の保有権が放棄され、ウクライナ海軍に編入されました。しかし、ウクライナ海軍でも完成に至らず、庁舎となる運命にありました。最終的には未完成の状態で中国に売却され、「遼寧」として再誕することになります。

艦名の由来

「ヴァリャーグ」の起工当初の艦名は「リガ」でしたが、1990年に「ヴァリャーグ」という名称に改名されました。この艦名は、初代の「ヴァリャーグ」という艦に由来しており、日露戦争で自沈した1等巡洋艦が初代艦名を持っていました。さらに、この2代目の名を受け継いだ艦は1990年に除籍されたミサイル巡洋艦です。

建造と歴史

「ヴァリャーグ」は、ソ連の1143.5と1143.6設計に基づき建造され、1985年にムィコラーイウの造船工場で起工しました。建造中の1991年にソ連が崩壊した際、中央政府からの資金供給は途絶え、工場は自費での建造を続けましたが、最終的には1992年に工事が中止されました。ロシア海軍は「ヴァリャーグ」の完成には7億5千万ドルの資金が必要と試算しましたが、財政難から事実上放棄されました。

その後、1993年にロシアは艦の所有権を諦め、ウクライナ軍に引き渡されました。1997年にウクライナは艦の解体工事を始めると報じられましたが、実際には装備の撤去が行われました。1998年には中国に2,000万ドルで売却され、レジャー施設としての改造が計画されましたが、中国側が艦を海上カジノとして利用する意向を示しました。

艦の曳航には多くの課題がありましたが、トルコとの交渉を経て、2001年に中国本国に回航。最終的に2002年には大連港で「遼寧」として運用が開始されました。

設計と性能

「ヴァリャーグ」の設計は1143.5設計に準じており、主要な部分は共通ですが、多くの改正が施されています。艦体の装甲は多層式から単層式に変更され、主機関は蒸気タービン4基と複数のボイラーから構成され、運用の安全性が考慮されています。

電子兵装では、「フォールム」や「フォールム-2M」という新型レーダーが導入され、運用効率を高めようと試みられましたが、実際には運用に難がありました。艦の兵装は複雑で、防御システムの多様性がありましたが、主にボスポラス・ダーダネルス海峡の通行にかかわる航行ルールも考慮して、他の国との関係にも影響を与える要素が含まれていました。

文化への登場

「ヴァリャーグ」は、いくつかの作品に登場しており、特に小説では架空の艦として描かれています。これにより、艦は歴史的な背景を持ちつつ、多くのフィクションに取り入れられ、興味深いキャラクターとして活躍しています。例えば、小説『征途』では、架空の空母「統一」として描かれ、日本の軍に対する戦力バランスを維持する役割が与えられました。

まとめ

このように「ヴァリャーグ」はソ連時代の象徴的な艦でありながら、歴史の流れによってその運命を変え、多くの国と文化に影響を与えてきました。現在は「遼寧」として新たな役割を果たしており、この艦の歴史は海軍の発展と国家の変遷を映し出しています。

もう一度検索