ヴァルダイ・クラブ

ヴァルダイ国際討論クラブ：世界秩序を議論する知的プラットフォーム

ヴァルダイ国際討論クラブは、2004年にロシアで設立された専門家分析センターです。その名称は、最初の会議がヴァルダイ丘陵の美しいヴァルダイ湖畔で開催されたことに由来します。

目的と特徴

このクラブの主な目的は、国際的な知的プラットフォームとして、専門家、政治家、ジャーナリストなど多様な分野の意見を交換し、国際関係、政治、経済、安全保障、エネルギーといった地球規模の問題について議論することです。特に、21世紀の世界秩序における主要な趨勢や変化を予測することに重点を置いています。

長年にわたり、世界62ヶ国から900人以上の代表が会議に参加しており、その中にはハーバード大学、コロンビア大学、東京大学など、世界を代表する大学やシンクタンクの教授陣も含まれています。また、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムや東方経済フォーラムなどの特別セッションも開催されています。

会議内容の要旨

2016年

2016年の会議では、プーチン大統領が演説を行い、国際社会の課題としてアメリカ合衆国との関係とテロリズム対策の2点を挙げました。アメリカがロシアを脅威と見なしていることに対し、NATOの拡大こそが現実の脅威であると指摘。また、ロシアの脅威は西側諸国が自国民の目をそらすための「神話」に過ぎないと批判しました。その上で、国連を積極的に活用し、各国の主権を尊重しながら国際社会の課題に取り組む必要性を強調しました。

日本人出席者からの平和条約に関する質問に対しては、期限を設けることは不可能であり、有害ですらあり得ると回答。日露関係は露中関係の水準に達していないと指摘しつつも、関係発展への意欲を示しました。

2017年

2017年の会議でも、プーチン大統領は主権国家の尊重と国連安全保障理事会を通じた対話の推進を訴えました。中東情勢、北朝鮮問題、スペインのカタルーニャ独立問題などを例に挙げ、国際法に基づいた問題解決の重要性を強調。また、NATOの東方拡大や対露制裁強化法案を批判し、西側諸国の恣意的な行動を非難しました。

アフガニスタンの元大統領ハーミド・カルザイは、アフガニスタンの過激主義根絶のため、アメリカやNATO諸国がロシアや中国などの地域諸国と協力することを求めました。アリババグループの創業者ジャック・マーも会議に参加し、発言を行いました。

結論

ヴァルダイ国際討論クラブは、世界各国の専門家が集まり、複雑化する国際情勢について率直な意見交換を行う貴重な場です。その議論は、世界秩序の今後を考える上で重要な示唆を与えてくれます。

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