ヴァンデンバーグ宇宙軍基地第3発射施設

ヴァンデンバーグ宇宙軍基地第3発射施設 (SLC-3)

ヴァンデンバーグ宇宙軍基地内に位置するスペース・ローンチ・コンプレックス3 (Space Launch Complex 3, SLC-3) は、初期にソーロケットやアトラスロケットといった機体の打ち上げに主に利用されてきた歴史あるロケット発射施設です。1960年代初頭に建設が開始され、施設の敷地内には東側のSLC-3Eと西側のSLC-3Wという、それぞれ異なる用途や歴史を持つ2つの射点が設けられています。

この射場がヴァンデンバーグ基地に置かれたことは、その後の運用において重要な意味を持ちました。東西に伸びるヴァンデンバーグの海岸線という立地特性は、ロケットが打ち上げ後に南極大陸上空を通過することなく、効率的に極軌道へ衛星を投入することを可能にします。これは、南北に海岸線が伸び、主に通常軌道への投入に適したケープ・カナベラル宇宙軍基地とは異なる、SLC-3の重要な利点の一つです。

SLC-3E

SLC-3Eは、特にアトラスロケットの打ち上げに用いられてきました。ここからは、アトラス IIASロケットによる計3回の打ち上げが実施されています。最初のミッションは1999年12月18日の地球観測衛星「テラ」の打ち上げでした。その後、2回の打ち上げではアメリカ海軍の広域海上監視システム衛星（USA-160およびUSA-173）が軌道へ投入されました。アトラス IIASによるこの射場からの最終打ち上げは、2003年12月2日に行われています。

2003年には、SLC-3Eをより能力の高いアトラス Vロケットに対応させるための大規模な改修計画が発表されました。改修工事は翌2004年1月に着工され、移動式整備塔の高さは9.1メートル引き上げられ、合計73メートルとなりました。これにより、大型のペイロードフェアリングを備えたアトラス Vの500シリーズのような、大きな人工衛星の整備が可能になりました。2004年7月には、固定発射プラットフォーム（FLP）の最終セグメントが到着したことが、当時の事業者であったロッキード・マーティン社によって発表されました。このセグメントは、約5,600キロメートル離れたフロリダ州オークヒルの工場で製作され、その重量は最大のセグメントで90トンにも達しました。これは、北米大陸内を陸送された最大の貨物の一つとして注目を集めました。改修工事は2005年2月にほぼ完了し、射場は改修チームから運用チームに引き渡されました。改修後のSLC-3Eからアトラス Vが初めて宇宙へ打ち上げられたのは、2008年3月13日、グリニッジ標準時午前10時02分のことでした。

SLC-3W

SLC-3Wは、当初アトラス・アジェナロケットの打ち上げ施設として建設されました。1960年10月11日には偵察衛星Samos-1の打ち上げが初めて試みられましたが、これは軌道投入に失敗しました。翌1961年9月9日にはSamos-3の打ち上げが行われましたが、ロケットが発射台上で爆発し、射点は深刻な損傷を受けました。しかし、基地は迅速な復旧作業を行い、わずか2ヶ月後の1961年11月22日にはSamos-4の打ち上げを試みています（この打ち上げも軌道投入には至りませんでした）。

1962年から1963年にかけて、SLC-3Wはソー・アジェナロケットを使用したコロナ偵察衛星プログラムの主要な打ち上げ施設として改修され、その後の約10年間にわたって稼働しました。コロナ計画が1972年に終了した後、この射場は軍用の旧式ミサイルであるアトラス E/Fを衛星打ち上げ用に改修した機体の射場として再整備されました。この改修型アトラスミサイルの運用は1995年に終了しました。

さらに近年では、スペースX社が小型ロケットであるファルコン1の開発初期段階において、短期間ながらこのSLC-3Wを利用した実績も記録されています。

ヴァンデンバーグ宇宙軍基地のSLC-3は、東西の射点それぞれが多様なロケットシステムと重要な宇宙ミッションを支えてきた、基地における宇宙開発の歴史を語る上で欠かせない施設と言えるでしょう。

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