ヴァーツラフ・ノイマン

ヴァーツラフ・ノイマン（Václav Neumann, 1920年9月29日 - 1995年9月2日）は、チェコ出身の著名な指揮者です。彼は、1968年から20年以上にわたりチェコ・フィルハーモニー管弦楽団（以下、チェコ・フィル）の首席指揮者を務め、同楽団を世界的なオーケストラへと押し上げました。

生涯

プラハで生まれたノイマンは、プラハ音楽院でヴィオラを学びながら、指揮をヴァーツラフ・ターリヒに師事しました。音楽院在学中から弦楽四重奏団でヴィオラ奏者として活動を始め、1945年にはチェコ・フィルのヴィオラ奏者となります。同年、彼が参加していた弦楽四重奏団はスメタナ弦楽四重奏団として正式にデビューしました。

1947年、チェコ・フィルの首席指揮者であったラファエル・クーベリックが急病になった際、ノイマンが代役として指揮者デビューを果たします。この成功を機に、彼は指揮者としての活動に専念するためスメタナ弦楽四重奏団を退団しました。1948年にクーベリックが共産党政権に反発して亡命すると、ノイマンはチェコ・フィルの常任指揮者となりました。

1950年、クーベリックの後任としてカレル・アンチェルが就任すると、ノイマンはチェコ・フィルを離れ、ブルノ交響楽団やプラハ市交響楽団で指揮を執りました。その後、彼は東ドイツへと活動の拠点を移し、1957年から1964年までベルリン・コーミッシェ・オーパーの首席指揮者を務め、1964年にはライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の音楽監督およびライプツィヒ市の音楽監督に就任しました。

1968年、プラハの春にソ連が介入すると、アンチェルはカナダへ亡命。その後任としてノイマンはチェコ・フィルの首席指揮者に就任し、祖国へ帰還しました。この際、ソ連の介入に東ドイツが加担したことに抗議し、ライプツィヒのポストを辞任しています。同時期には、シュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者を務めていたマルティン・トゥルノフスキーも同様に辞任しました。

1970年から1973年まで、ノイマンはシュトゥットガルト国立歌劇場の音楽監督を兼任しましたが、1990年に名誉指揮者となるまでの22年間、チェコ・フィルの首席指揮者の地位に留まりました。彼は数々のツアーやレコーディングを通じて、チェコ・フィルの国際的な名声を確立し、高めていきました。また、この頃にはウィーン音楽院でも教鞭を執っています。日本へは1969年の初来日以降、9回にわたり来日し、演奏を行いました。1976年の来日時には、チェコ・フィルとプラハ・フィル合唱団とともに、ベートーヴェンの交響曲第9番を日本でレコーディングしています。

1989年、チェコ国内でビロード革命が発生すると、ノイマンは一貫して民主化を支持しました。11月17日から20日の間、スメタナホールでスメタナの連作交響詩「わが祖国」を連日演奏し、学生や活動家を支援しました。民主化成功直後の12月14日には、新大統領ヴァーツラフ・ハヴェルを招いてベートーヴェンの交響曲第9番を演奏するなど、様々な形で民主化運動を支えました。その後、イルジー・ビエロフラーヴェクに首席指揮者の地位を譲りましたが、その後もチェコ・フィルとの共演を続けました。

1995年9月2日、ノイマンは滞在先のウィーンで逝去しました。

レパートリー

ノイマンとチェコ・フィルによる演奏は、特に海外ツアーにおいて、スメタナやドヴォルザーク、そしてヤナーチェク、マルティヌーといったチェコの作曲家の作品を積極的に取り上げました。特にヤナーチェクとマルティヌーの普及に果たした役割は大きく、スークの作品も頻繁に演奏しました。また、マーラーの作品にも深い愛着を示し、2度にわたって交響曲全集の録音に挑戦しましたが、交響曲第7番と第8番を残し、2度目の全集完成前に亡くなりました。最後の録音となった交響曲第9番は、彼の死のわずか5日前に完成しました。意外なところでは、オペレッタ序曲集を2度録音しており、コーミッシェ・オーパー時代の片鱗を垣間見ることができます。

評価

指揮者のヘルベルト・ブロムシュテットは、ノイマンについて「生来の音楽家であり、そのコンサートはすべてがとても軽やかに、そしてごく自然に流れていました」と評しています。

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