ヴァーノン・デューク

ヴァーノン・デューク（Vernon Duke、1903年10月10日 - 1969年1月16日）は、アメリカ合衆国の作曲家・詩人として知られています。彼の作品の中でも特に有名なのは、「ニューヨークの秋」をはじめとするジャズのスタンダード・ナンバーです。

本名はヴラジーミル・アレクサンドロヴィチ・ドゥケーリスキー(Vladimir Alexandrovich Dukelsky)といい、ロシア帝国時代のミンスク県（現在のベラルーシ・ヴィーツェプスク州）で生まれました。彼の家系はグルジア、オーストリア、スペインの血を引いています。キエフ音楽院でレインゴリト・グリエールらに音楽を学んだ後、ロシア革命を避けてイスタンブールへ逃れ、詩人として活動を始めました。その後、1921年にアメリカへ渡り、ショーの伴奏音楽を提供するようになりました。

1923年からは、セルゲイ・プロコフィエフからの助言を受けて芸術音楽への復帰を目指し、イギリスやフランスに滞在。セルゲイ・ディアギレフ率いるロシア・バレエ団のために、《ゼフィルスとフローラ》などのバレエ音楽を手がけました。

1929年にアメリカへ帰国すると、ジョージ・ガーシュウィンに見出され、ブロードウェイでレヴューやミュージカルの創作に取り組みました。この頃から、英語風の「ヴァーノン・デューク」という名前で活動するようになります。ブロードウェイでのデビュー作は、1932年の《もっと速く歩け》でした。初のミュージカル・コメディ作品は、1940年の《キャビン・イン・ザ・スカイ》です。

ヴァーノン・デュークの代表的な楽曲としては、アイラ・ガーシュウィンの作詞による《言い出しかねて》、イップ・ハーバーグの作詞による《パリの四月》(1932年)、《What Is There To Say》（1934年）、そして彼自身が作詞した《ニューヨークの秋》（1934年）などが挙げられます。彼の作品は、アンドレ・プレヴィンやドーン・アップショーといった音楽家たちにも深く愛されています。

ブロードウェイでの成功後も、プロコフィエフからの教えを守り、クラシック音楽の作曲も続けました。クラシック作品を作曲する際は本名のウラディミール・デュケルスキーを使用し、1955年までに3曲の交響曲などを発表しています。

1969年、ヴァーノン・デュークはカリフォルニア州サンタモニカで肺癌の手術中に亡くなりました。彼の遺体は同地のウッドローン墓地に埋葬されましたが、1993年に遺言に従い、遺灰は海へと散骨されました。

主な作品

バレエ音楽:
ゼフィルスとフローラ
ミュージカル:
もっと速く歩け
キャビン・イン・ザ・スカイ
代表曲:
言い出しかねて (I Can't Get Started)
パリの四月 (April In Paris)
What Is There To Say
ニューヨークの秋 (Autumn in New York)

ヴァーノン・デュークは、ポピュラー音楽とクラシック音楽の両分野で才能を発揮し、20世紀のアメリカ音楽界に大きな足跡を残しました。

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