ヴァーノン・リード

ヴァーノン・リード：音楽の多様性を体現するギタリスト

ヴァーノン・リード（Vernon Reid）は、1958年8月22日にイギリスのロンドンで生まれた、ギタリスト、ソングライター、作曲家、そしてバンドリーダーとして多彩な才能を発揮する音楽家です。彼は、特にロックバンド、リヴィング・カラーのギタリストとして広く知られています。

生い立ちと初期の音楽活動

カリブ海のトリニダード・トバゴからの移民である両親のもとに生まれたリードは、幼少期にアメリカ合衆国へ移住しました。自己防衛のために空手を習う一方で、音楽への興味も深め、ギタリストとしての道を歩み始めます。

1979年には、ベーシストのメルヴィン・ギブスと共に、オーネット・コールマンのグループでドラマーを務めていたロナルド・シャノン・ジャクソンのグループ、ザ・デコーディング・ソサエティに参加し、3枚のアルバムを制作しました。また、1980年頃には、ジョセフ・ボウイ率いるデファンクトのメンバーとしても活動しました。

ブラック・ロック・コーリションの設立

1985年、リードはニューヨークで活動する芸術家たちの団体「ブラック・ロック・コーリション」を、ジャーナリストのグレッグ・テイト、プロデューサーのコンダ・メイソンと共に設立しました。この団体は、24-7スパイズやマイケル・ヒルズといったアーティストを紹介し、黒人アーティストの活躍の場を広げることに貢献しました。

リヴィング・カラーでの成功

1983年頃から構想を練り始め、メンバーを集めて結成されたリヴィング・カラーは、1988年にミック・ジャガーの推薦を受け、エピック・レコードからデビューを果たしました。バンドは、その革新的な音楽性と、人種や社会問題に対するメッセージ性の強い歌詞で、瞬く間に人気を博しました。1995年頃にバンドは活動を休止しましたが、2000年以降に再結成し、現在も活動を続けています。

多彩なソロ活動

リードは、リヴィング・カラーでの活動と並行して、ソロアーティストとしても精力的に活動しています。1984年には、ビル・フリゼールとの連名でアルバム『スマッシュ&スキャタレイション』を制作し、ギターだけでなくバンジョーも演奏しました。また、メルヴィン・ギブスのアルバム『MG』にも参加しています。1987年には、パブリック・エナミーやミック・ジャガーのアルバム『プリミティヴ・クール』にレコーディング・アーティストとして参加しました。サンタナ、ジャック・ブルース、アンビシャス・ラバーズ、ジャマラディーン・タクマ、ジャック・ディジョネットなど、数多くのアーティストのアルバムにも参加しています。

リヴィング・カラーの活動休止後の1996年には、高木完、DJロジック、プリンス・ポール、ボム・スクワッドなどをゲストに迎え、テオ・マセロのプロデュースでソロアルバム『ミステイクン・アイデンティティ』を発表しました。

プロデューサーとしても才能を発揮し、グラミー賞にノミネートされたサリフ・ケイタの1999年の作品『パパ』や、ジェームス・ブラッド・ウルマーの作品を手がけました。

2001年からは、ジャック・ブルースのJack Bruce and the Cuicoland Expressのメンバーとして2002年まで在籍し、アルバムも録音しました。2003年からは、DJロジックとのヨヒンベ・ブラザーズを結成し、2枚のアルバムを制作しています。また、マスクを結成し、スティーヴ・ヴァイが設立したフェイヴァード・ネイションからヴァーノン・リード・アンド・マスク名義で2枚のアルバムを発表しています。

2007年からは、ジャマラディーン・タクマとグラント・カルヴィン・ウエストンとのF4や、即興音楽のトリオ、フリー・フォーム・ファンキー・フリークスを結成し、活動しています。

ヴァーノン・リードは、その革新的な音楽性と、ジャンルを超えた幅広い活動で、音楽シーンに多大な影響を与え続けています。

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