ヴィエコスラヴ・チュリッチ

ヴィエコスラヴ・チュリッチ（1957年4月26日 - 1998年1月31日）は、フランシスコ会の司祭であり、献身的な人道活動家でした。彼はヴィエコ・チュリッチとも呼ばれ、ルワンダにおける人道支援と伝道活動、そしてフランシスコ会ボスナ・スレブレナ管区に属する殉教者として知られています。

ボスニア・ヘルツェゴビナのルポグラヴで生まれたチュリッチは、サラエヴォで神学を学び、1976年にフランシスコ会に入会。1982年に司祭に叙階されました。その後、パリで伝道活動の準備をし、1983年からルワンダでの活動を開始しました。

ルワンダでは、フランシスコ会の「アフリカ計画」に従い、現地の習慣や部族の言語を習得することに努めました。彼は地元の人々の物質的、精神的なニーズに応えるために尽力し、学校や教会、医療施設の建設を支援するなど、多岐にわたる活動を展開しました。

1994年、ルワンダはフツ族とツチ族の対立が激化し、ルワンダ虐殺という悲劇に見舞われました。多くの白人がルワンダを離れる中、チュリッチは危険を顧みず現地に留まりました。彼はインテラハムウェからの脅迫を受けながらも、公然と暴力を非難し、統一と平和を訴え続けました。虐殺の際には、教会に多くの人々を避難させ、食料や水を提供するなど、人道的な支援活動を積極的に行いました。

紛争終結後の1998年1月31日、チュリッチはキヴマで何者かに襲撃され、命を落としました。彼の死は、ルワンダの人々にとって大きな悲しみであり、国際社会からも深い哀悼の意が寄せられました。彼は、自身と支持者たちによって築かれた地元の教区教会に埋葬されました。

翌日、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は、バチカンのサン・ピエトロ広場での演説中にチュリッチに言及し、彼の勇気と献身的な活動を称えました。ヴィエコスラヴ・チュリッチの生涯は、困難な状況下でも人道的な精神を貫き、平和のために尽力した人物として、今もなお多くの人々に感銘を与え続けています。

もう一度検索