ヴィシャル (空母)

ヴィシャル（IAC-2）についての詳細

ヴィシャル（Vishal）はインド海軍が建造を計画している2隻目の国産航空母艦であり、通称IAC-2（Indigenous Aircraft Carrier 2）と呼ばれています。この艦は、国産空母計画の一環として位置づけられており、重要な防衛力の向上を目指しています。

背景と建造計画

ヴィシャルは、元々「ADS（Air Defence Ship、防空艦）」という計画の一部として、ヴィクラント級の航空母艦を少なくとも3隻建造する予定でした。しかしながら、ヴィクラントの就役が2022年まで遅れたことや、中国の空母の就役など国際的な安全保障環境の変化を受けて、IAC-2の仕様は大きく見直されました。新たな設計を採用することとなり、詳細な要求は未だに決まっていないため、IAC-2の就役は早くても2030年代以降と予想されています。

性能と設計

船体性能

当初の設計での排水量は45,000トンを計画していましたが、その後の設計見直しにより、報道によると排水量は65,000トンまで増加したとされています。新しい設計では、有人戦闘機だけでなく無人機も運用できるようにし、その結果としてコストや建造期間の短縮が見込まれています。

推進機関

原子力推進の採用も検討されましたが、開発コストや時間の問題から見送られました。代わりに、ガスタービン発電機を使用した統合電気推進（IFEP）が搭載されることが決定しています。2022年には、インド政府は英仏のゼネラルエレクトリックパワーコンバージョン社との間で、IFEPの国産開発に向けた覚書を締結しました。

航空運用能力

ヴィシャルは、従来のSTOBAR（短距離発艦・縦型着艦）型ではなく、カタパルトを用いたCATOBAR（キャットオフ・エアボーン・リカバリー）型として設計されています。当初は蒸気カタパルトを予定していましたが、アメリカの電磁カタパルト（EMALS）の視察を経て、これを採用することが確定しました。この選択により、最新のE-2D早期警戒機の運用も可能となります。

艦歴と今後の計画

2019年には、ヴィシャルの設計がイギリスのクイーン・エリザベス級に基づくことが決まり、英国との交渉が進められました。しかし、2021年には原子力潜水艦の優先配備が決まったことから、ヴィシャルはヴィクラマーディティヤの後継機として建造されることとなりました。

2022年12月には、インド海軍の高官が既に就役しているヴィクラントに満足しているため、IAC-2の建造を一時保留し、ヴィクラントの再建造も含めて再評価する意向を示しました。

IAC-3計画

最新の実情として、2023年のエアロインディア2023では、インド海軍が新たな戦略的投資と設備更新が必要なCATOBAR空母ではなく、IAC-1の再発注を決定したことが発表されました。その結果、IAC-2の建造は延期され、IAC-3として計画が継続されることとなりました。今後、この空母計画はより深い研究を重ねていくことが期待されています。

以上のように、ヴィシャルはインドの海軍力の重要な一翼を担う存在となることが期待されています。その進展や成果が注視されるところです。

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