ヴィッサリオン・ジュガシヴィリ

ヴィッサリオン・ジュガシヴィリ：スターリンの父

ヴィッサリオン・イヴァーノヴィチ・ジュガシヴィリは、ソビエト連邦の独裁者ヨシフ・スターリンの父として知られる人物です。1850年頃、貧しい農家の息子としてグルジアのジジ・リロで生まれました。幼少期については不明な点が多いものの、彼は読み書きができ、グルジア語の他、アルメニア語、アゼルバイジャン語、ロシア語など複数の言語を話せたと言われています。これは当時のグルジア人としては珍しい才能でした。

トビリシとゴリでの生活

青年期にトビリシに移り住んだヴィッサリオンは、靴工場で働き始めました。その後、ゴリという町で靴職人として独立開業。そこで彼はイェカチェリーナ・ゲラージェと結婚し、スターリンを含む3人の子供をもうけました。しかし、2人の息子は幼少期に亡くなっており、スターリンは夫婦唯一の生き残った子供でした。ゴリでの生活は順調に始まりましたが、事業の失敗や酒癖の悪化により、家庭生活は次第に破綻していきました。ヴィッサリオンは暴力的で、妻や子供に暴力を振るうこともあったと伝えられています。

家庭崩壊と最期

1884年、ヴィッサリオンは妻と息子を置いてトビリシに戻り、再び靴職人として働きました。その後も妻に仕送りをするなど、家族との関係修復を試みましたが、うまくいきませんでした。息子であるヨシフが神学校に進学しようとした際には、激しい対立が生じ、最終的に父子関係は断絶します。

ヴィッサリオンは、その後トビリシで靴の製造や販売を行いながら生活していましたが、詳細は不明です。1909年8月、彼は肝硬変のためトビリシで亡くなりました。葬儀には数人のみが出席し、遺体はチェラーヴィにある無名の墓に埋葬されました。埋葬地の特定は1972年にようやく確認されましたが、遺体が本当にヴィッサリオンのものかどうかは、いまだに確定していません。

ヴィッサリオンの生涯から見えるもの

ヴィッサリオンの生涯は、貧困、飲酒、暴力、そして家庭崩壊といった、暗い影がつきまとうものでした。彼の性格や行動は、後に独裁者となる息子のヨシフ・スターリンにも少なからず影響を与えた可能性は否定できません。歴史家は、ヴィッサリオンの生涯を様々な角度から分析し、スターリンの形成に及ぼした影響について議論を続けています。しかしながら、彼の生涯の多くは謎に包まれており、今後の研究によってさらに多くの事実が明らかになることが期待されます。

参考文献

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