ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂

アルターレ・デッラ・パトリア

アルターレ・デッラ・パトリア（国父の祭壇）は、イタリアの首都ローマに位置する壮大な記念堂であり、イタリア王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世を讃えるために建設されました。この記念堂は、国父を顕彰するために設けられたもので、「ヴィットーリオ」と略されることもあります。また、無名戦士の墓としての役割も果たしています。

建設は1885年、ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の治世を受け継ぐ息子、ウンベルト1世の下で始まりました。設計を担当したのは新古典主義の建築家ジュゼッペ・サッコーニで、彼のデザインは当時から賛否を呼んでいます。装飾には象徴主義の彫刻家であるレオナルド・ビストルフィやアンジェロ・ザネッリが関与しており、引き締まった美しい外観を持っています。

1911年に落成式が行われ、1925年までの長期間にわたる工事を経て、ついに建物が完成しました。アルターレ・デッラ・パトリアは、幅135メートル、高さ70メートル（クアドリガのヴィクトリア像を含めると81メートル）を誇り、総面積は17,000平方メートルに及びます。建物のクライマックスには、勝利の女神ヴィクトリアの彫像が二体配置され、正面にはヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の騎馬像が堂々と構えています。

また、地下には無名戦士の墓があり、これは第一次世界大戦後に提案されたもので、ジャン・ドゥーエ将軍が提唱した祭壇と灯明が設置されています。ここには、身元不明の兵士たちが合同で埋葬され、国の名誉を象徴する場所となっています。さらに、建物の土台部分には、イタリア統一戦争に関する歴史博物館が併設されており、歴史的な資料を通じて訪問者にその重要性を伝えています。

施設内には「旗の聖堂」(Sacrario delle Bandiere)もあり、陸軍や海軍の歴史的な旗が保管されています。その中には、両シチリア海軍が建造し後にイタリア海軍に編入されたフリゲート艦「ジュセッペ・ガリバルディ」の旗も展示されています。

議論

アルターレ・デッラ・パトリアはその独特の新古典主義スタイルにより、周囲の古代ローマや中世の雰囲気とは異なり、時には景観を損ねる存在として議論の的となっています。地元住民はそのデザインから「ウェンディングケーキ」「タイプライター」「入れ歯」といった蔑称を付けることもあります。しかし、観光客や外部から訪れる人々にとっては、イタリア統一戦争を象徴する重要な歴史的建造物であり、好意的に受け止められています。

特に、ローマ市の観光名所としての認知度が高く、観光施設としての整備も進んでいます。カルロ・アツェリオ・チャンピ大統領時代には、訪問者がローマの美しい眺望を楽しめるように、屋上へ向かうエレベーターが設置されるなどして、観光地としての魅力がさらに高まりました。

アルターレ・デッラ・パトリアは、イタリアの歴史と文化を象徴する場所として、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。

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