灯明

灯明（とうみょう）とは

灯明とは、神仏に供える灯火のことで、仏教においてはサンスクリット語の「ディーパ」を語源とし、闇を照らす智慧の光として重要な供養の一つとされています。古くは油を燃やす油皿が用いられていましたが、現代ではろうそくや電球を用いることが一般的です。

灯明に用いられる仏具

灯明を供える際に用いられる仏具には、以下のようなものがあります。

燭台：ろうそくを立てるための台。
灯籠（灯篭）：火を灯すための容器で、様々な形状があります。
輪灯：主に浄土真宗で用いられる、特徴的な形状の灯火具。

これらの仏具は、灯明を美しく、そして安全に灯すために重要な役割を果たします。特に燭台は、仏教における基本的な仏具である三具足・五具足の一つとしても数えられています。

輪灯（りんとう）

浄土真宗において、燭台の他に用いられるのが「輪灯」です。真鍮製で、油煙よけの傘が付いた吊り具に、油皿をのせる皿が付いた形状をしています。輪灯は、一対で用いられ、寺院では中尊前や祖師前に、在家では仏壇の天井から吊り下げて使用します。

輪の形状は宗派によって異なり、大谷派では油皿を乗せる皿に輪が付いた簡素なものが用いられます。一方、本願寺派では「菊輪灯」、高田派では「桐輪灯」、佛光寺派では「藤輪灯」と呼ばれる、それぞれ装飾が施された輪灯が用いられます。大谷派以外の宗派では、輪灯本体と傘部の間に「相吊（間吊）」と呼ばれる装飾的な吊り金具が用いられるのも特徴です。

永遠の炎（Eternal flame）

炎を絶やさずに燃やし続けるという行為は、世界各地の様々な文化や信仰に見られます。これは、故人への追悼や、特定の価値観を象徴する意味合いを持つとされています。以下に、歴史的な「永遠の炎」の事例をいくつか紹介します。

古代の永遠の炎

古代ペルシャ、ゾロアスター教：古代イランでは、「アータル」と呼ばれる聖なる炎が特別な司祭によって管理され、ゾロアスター教における「神聖な火花」を象徴していました。アケメネス朝ペルシャ時代には、3つの「偉大な火」が常に燃え続けていたと伝えられています。
ユダヤ教：ユダヤ教の寺院には、「ネール・ターミード」と呼ばれる「永遠の灯火」が灯されています。
仏教：高野山燈籠堂の「消えずの火」や、比叡山延暦寺の「不滅の法灯」、多喜山大聖院水精寺の「消えずの火」などが知られています。特に、多喜山大聖院水精寺の火は、広島平和記念公園の平和の灯の火種としても使われています。

消火された永遠の炎

歴史の中では、様々な理由で消火された「永遠の炎」も存在します。

アレクサンダー大王が親友の死を悼んで、アケメネス帝国の3つの「偉大な火」の一つを消した。
紀元前87年に、ローマの将軍スッラによってギリシャのデルポイアポロ神殿の炎が消された。
古代ローマのウェスタの聖火が、394年に消された。
エストニアのタリンにあるソビエト軍兵士像の近くの炎が、ソ連からの独立後消された。
東ドイツにあった永遠の炎も、東西ドイツ統一後に消された。
コソボ空爆の慰霊碑として、ベオグラードに作られた「Večna vatra」の炎も、数ヶ月後に消された。

自然の永遠の炎

また、自然現象として、地下のガスが燃え続ける「永遠の炎の滝」のような場所も存在します。

関連情報

照明：灯明に関連する照明器具として、提灯、行灯、蝋燭などが挙げられます。
不滅の炎：ファンタジー作品に登場する永遠の炎も、物語に深みを与えています。
炭層火災：地下で燃え続ける炭層火災は、消火が困難なため、自然鎮火を待つしかない場合もあります。
火炎崇拝：炎を神聖視する文化も、世界各地に存在します。

灯明は、単なる照明器具ではなく、宗教的な意味合いを持つ、重要な文化財です。その歴史や種類を知ることは、信仰や文化への理解を深める上で有益でしょう。

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