ヴィルフランシュ＝ド＝ルエルグ

フランス南西部、オクシタニー地域圏のアヴェロン県に属するコミューン、ヴィルフランシュ＝ド＝ルエルグ（フランス語: Villefranche-de-Rouergue、オック語: Vilafranca de Roergue）は、アヴェロン川が流れる谷間に位置しています。この地域は県内でも比較的温暖な気候に恵まれ、特に県都ロデーズやミヨーと比較して年間平均気温が約2℃高いとされています。かつてこの地では銅や鉛、鉄、錫、銀といった鉱物の採掘が盛んに行われており、リン酸塩や石材も産出されていました。

歴史

ヴィルフランシュの町の歴史は、1099年にトゥールーズ伯レーモン4世によってアヴェロン川左岸に建設されたことに始まります。創設当初は教会もない小さな集落であり、発展は限定的でした。

町の運命が大きく変わったのは、ルイ9世の王弟アルフォンス王子と、トゥールーズ伯領の後継者であったジャンヌ女伯の結婚によって、カペー朝の王権がトゥールーズ伯領に及ぶようになった頃です。当時、ルエルグ地方の行政中心地であったナジャックが、トゥールーズ家に深く結びついていると判断したアルフォンス王子は、既存の権力構造から独立した政治中心地を新たに設けることを決め、ネジャックから程近いヴィルフランシュへ機能を移転させました。1252年、王子は行政機能をアヴェロン川左岸に移し、町の発展を促すため、住民には税制上の優遇措置を与えました。代官のジャン・デザルシは、古代ローマの都市計画に倣い、中央広場を中心とした碁盤の目状の街路を持つ、特徴的なバスティード様式の都市設計を採用しました。この計画に基づき、広場から直角に伸びる通りが配置され、町は城壁で囲まれました。商業活動の拠点としての役割も重視され、今日でも毎週市場が開かれています。

1256年には、ルイ9世とアルフォンス王子によって町の憲章が公布され、商取引の規則や都市の役割が明確に定められました。これにより、裕福な商人や貴族が町に移り住むようになり、町の繁栄を後押ししました。1290年にはコルドリエ修道会の修道院が記録に残されていますが、これはフランス革命期に破壊されています。町のインフラ整備も進み、1331年にはアヴェロン川に石造りのコンシュル橋（旧橋）が架けられました。

14世紀から17世紀にかけて、ヴィルフランシュは幾度か大きな試練に見舞われます。1348年から1349年にかけて大流行した黒死病は町に壊滅的な被害をもたらし、約3000人の犠牲者が出ました。この疫病流行期に、患者を看護するためのサン・マルティアル病院が建てられています。1455年にはサン・ジャック教会が建立されました。ヴィルフランシュは、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路の一つ、ル・ピュイ街道の重要な宿場町であり、巡礼者のための病院も建設されています。1628年にも再び黒死病が大流行し、町は人口の約三分の一を失いました。

自然災害も町を襲いました。1775年の大地震では、600軒もの家屋が損壊しました。しかし、ヴィルフランシュの繁栄は続きました。特に1779年に新設されたオート＝ガロンヌ州の州都となったことで、その地位は頂点に達します。この州は1790年に廃止され、フランス革命後には県都機能もロデーズに移されたため、ヴィルフランシュは一地方都市としての位置づけとなりました。

第二次世界大戦中の反乱

第二次世界大戦中の1943年9月17日、ヴィルフランシュ＝ド＝ルエルグは特異な出来事の舞台となりました。ナチス・ドイツの占領下にあったこの日、町に駐屯していたドイツ国防軍所属の第13SS武装山岳師団・第13大隊（主にボスニア系ムスリムとクロアチア系カトリック教徒で構成）の兵士たちが、ドイツ人将校に対して反乱を起こしたのです。彼らは将校を殺害し、武器を掌握した後、ヴィルフランシュの支配権を奪取しました。これにより、町はわずか一日ながらドイツの占領から解放されました。

しかし、ドイツ軍司令部は直ちに反撃を開始し、近隣から大規模な援軍を派遣しました。数的にも装備でも圧倒的なドイツ軍との市街戦は血生臭いものとなり、最終的にドイツ軍がヴィルフランシュを奪還しました。反乱の生存者は即座にドイツ当局によって死刑を宣告され、「クロアチア人犠牲者の広場」と呼ばれる場所に埋葬されました。若者たちの英雄的な行動は悲劇的な結末を迎えましたが、この出来事はBBCのラジオ・ロンドンを通じて西ヨーロッパ各地に伝えられ、ナチス占領下で自らの手による解放を達成した町として知られることとなりました。

反乱の指導者として疑われた人物の中には、ボスニア系ムスリムのフェリド・ドジャニッチや、クロアチア系カトリック教徒のエドゥアルド・マトゥチノヴィッチ、ニコラ・ヴケリッチ、ボジョ・イェリネクらがいました。ドジャニッチとヴケリッチはドイツ軍との戦闘中に死亡しましたが、イェリネクとマトゥチノヴィッチはその後レジスタンス組織（マキ）に合流し、信頼を勝ち得ました。特にイェリネクは後にレジオンドヌール勲章を授与されています。この事件の記憶を後世に伝えるため、戦後、ヴィルフランシュ＝ド＝ルエルグの通りは「アヴェニュー・デ・クロアート」（クロアチア通り）と改名されました。

姉妹都市

ヴィルフランシュ＝ド＝ルエルグは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

- サルザナ（イタリア）
- プーラ（クロアチア）

もう一度検索