ヴィルヘルム・ハイドカンプ (駆逐艦)

Z21 ヴィルヘルム・ハイドカンプは、ドイツ海軍が1930年代後半に建造した1936型駆逐艦の一隻です。艦名は、第一次世界大戦中に勇敢な戦いを見せたドイツ水兵、ヴィルヘルム・ハイドカンプに敬意を表して命名されました。

艦歴

1937年12月15日に起工され、翌1938年8月20日に進水したヴィルヘルム・ハイドカンプは、1939年6月20日に正式に就役しました。第二次世界大戦が開戦すると、本艦は北海やイギリス沿岸での作戦に投入されました。

開戦後、ヴィルヘルム・ハイドカンプは4度にわたりイギリス沿岸への機雷敷設作戦に参加し、敵艦船の航行を妨害しました。1940年2月18日には、戦艦シャルンホルスト、グナイゼナウといった有力艦艇と共に船団攻撃作戦（ノルトマルク作戦）に出撃しました。この作戦では、イギリス海軍の警戒をかいくぐり、複数の船団を攻撃することに成功しました。

1940年4月、ヴィルヘルム・ハイドカンプはノルウェー侵攻作戦「ヴェーザー演習作戦」に駆逐艦部隊の一員として参加しました。4月7日には、駆逐艦10隻からなるナルヴィク攻略部隊の旗艦として出撃し、ノルウェー北部の港町ナルヴィクを目指しました。

4月9日、ナルヴィクのあるオフォトフィヨルドに進入したヴィルヘルム・ハイドカンプは、ノルウェー海軍の老朽海防戦艦アイツヴォルと交戦、これを撃沈する戦果を上げました。しかし、この勝利は長くは続きませんでした。

4月10日、ナルヴィク港に停泊中のヴィルヘルム・ハイドカンプは、イギリス海軍の駆逐艦による奇襲攻撃を受けました（第1次ナルヴィク海戦）。この戦闘で、イギリス駆逐艦ハーディが放った魚雷がヴィルヘルム・ハイドカンプの艦尾に命中し、艦内に搭載されていた弾薬が誘爆しました。この爆発により、艦体は深刻な損傷を受け、翌朝にはついに沈没してしまいました。これにより、ヴィルヘルム・ハイドカンプは第二次世界大戦の初期にその短い生涯を終えることになりました。

ヴィルヘルム・ハイドカンプの沈没は、ドイツ海軍にとって大きな痛手となりました。しかし、その武勇は、ドイツ海軍の歴史に刻まれ、今もなお語り継がれています。

この駆逐艦の短い生涯は、第二次世界大戦初期の激しい戦いを象徴するものであり、その活躍と悲劇は、多くの人々に記憶されています。

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