ヴィンセンス (重巡洋艦)

ヴィンセンス (USS Vincennes, CA-44)

ヴィンセンスはアメリカ海軍の重巡洋艦で、ニューオーリンズ級重巡洋艦の7番艦です。この艦はインディアナ州ヴィンセンスの名に由来し、同じ名前を持つ艦としては2隻目にあたります。その艦歴は多彩であり、特に第二次世界大戦における役割が注目されています。

艦歴の始まり

ヴィンセンスは1934年にマサチューセッツ州クインシーのベスレヘム・スチール社で起工し、1936年に進水しました。1937年には艦長バートン・H・グリーン大佐の指揮のもと、正式に就役しました。

大戦前の活動

就役後、ヴィンセンスは整調巡航でボストンを出航し、スウェーデンやフィンランドなどを訪問しました。以降、偵察部隊第7巡洋戦隊に配属され、カリブ海や西海岸での活動に従事しました。特に1939年9月1日、ドイツがポーランドに侵攻した際には、ヴィンセンスはニューヨーク州で中立パトロールを開始し、その活動は1940年春まで続きました。

世界大戦への突入

1941年には、ヴィンセンスはノーフォーク海軍造船所でのオーバーホールを経て、カリブ海でのパトロール任務を引き続き行いました。しかし、事実上ドイツとの戦争状態に突入したアメリカは、ヴィンセンスを南アフリカへの輸送船団護衛に派遣しました。12月7日、真珠湾攻撃によりアメリカは日本との戦争に突入しました。

第二次世界大戦における活躍

真珠湾攻撃から間もなく、ヴィンセンスはWS-12船団の護衛に従事し、その後ニューヨークで戦時の準備を整えます。1942年3月には空母ホーネットと合流し、ドーリットル空襲の一部として太平洋へ向かいます。この攻撃は、アメリカの士気を高める重要な出来事として記憶されています。

ミッドウェー海戦とその後

ミッドウェー海戦では、ヴィンセンスは姉妹艦アストリアと共に活躍しました。日本艦隊の攻撃を受け、壮絶な戦闘が繰り広げられましたが、ヴィンセンスは当時の艦隊と共にその力を示しました。続くガダルカナル島の戦いでは、ヴィンセンスは上陸部隊の支援を行い、その役割を果たしました。

おわりに

しかし、1942年8月9日、ヴィンセンスはサボ島沖の戦闘で致命的な攻撃を受け、最終的に沈没し、艦長は艦を放棄する決断を下しました。艦は1942年11月に除籍され、以降の調査で2019年にその残骸が発見されました。ヴィンセンスはその歴史の中で、多くの栄光と悲劇を経験し、アメリカ海軍の一部としての役割を全うしました。

この艦の歴史は、第二次世界大戦における艦艇の重要性やその戦闘での勇敢な活動を物語っており、海軍の功績の象徴としても位置づけられています。

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