ノーフォーク海軍造船所

ノーフォーク海軍造船所 (Norfolk Naval Shipyard)

ノーフォーク海軍造船所は、バージニア州ポーツマスに位置するアメリカ海軍の主要な造船所です。通称ノーフォーク海軍工廠としても知られ、アメリカ海軍が所有する最古かつ最大の工廠として知られています。その歴史は古く、18世紀にまで遡ります。当初はゴスポート造船所として設立されましたが、1862年に現在の名称に変更されました。

歴史

創業からアメリカ独立戦争

1767年11月1日、アンドルー・スプロールによってゴスポート造船所は設立されました。場所はバージニア植民地のノーフォーク郡、エリザベス川の西岸です。造船所はイギリス海軍艦船と一般商船の建造・修理で成功を収めましたが、1775年にアメリカ独立戦争が勃発すると、スプロールはイギリス王室に忠誠を誓い、植民地を離れました。彼の財産は独立派勢力によって没収され、造船所もその例外ではありませんでした。その後、バージニア州政府が造船所を運営しましたが、1779年にイギリス軍の攻撃により炎上してしまいます。

合衆国政府による国有化

1794年、連邦議会は「海軍軍備提供法」を可決し、アメリカ合衆国連邦政府がバージニア州政府からゴスポート造船所を借用することになりました。1799年には、この造船所で初の合衆国海軍艦艇「チェサピーク」(USS Chesapeake)が起工されました。連邦政府は1801年に12,000ドルでこの造船所をバージニア州政府から購入し、その面積は16エーカー（約65,000平方メートル）でした。1827年には、アメリカ初の乾ドックの建設が始まりました。1845年にはエリザベス川東側の土地も購入され、拡張が進みました。

南北戦争

1861年、バージニア州がアメリカ連合国に加入すると、造船所指揮官は連合国への接収を恐れて、施設と残存艦船の破壊を命じました。しかし、ノーフォーク・アンド・ピーターズバーグ鉄道社長であったウィリアム・マホーンの策略により、連合国軍は無血で造船所を確保しました。合衆国軍はハンプトンローズを越えてモンロー砦へ撤退しました。その後、連合国は、焼損した合衆国軍艦「メリマック」を基に装甲艦「バージニア」を建造しました。1862年、ハンプトンローズ海戦で「バージニア」は合衆国軍の「モニター」と歴史的な海戦を繰り広げました。連合国軍が撤退する際には、再び造船所を炎上させました。

ノーフォークおよびポーツマスが合衆国軍に奪還されると、ゴスポート造船所はノーフォーク造船所に改称されました。これは、実際にはポーツマスにあるにもかかわらず、地域で最大の都市であるノーフォークの名前が冠されたものです。また、ニューハンプシャー州ポーツマスにあるポーツマス海軍造船所との混同を避ける目的もあったとされています。

両世界大戦を経て

第一次世界大戦中、造船所は大規模な拡張が行われ、多くの従業員が周辺に住むようになりました。第二次世界大戦が始まると、さらに規模は倍増し、生産能力も大幅に拡大しました。1940年から1945年のピーク時には、43,000人の従業員が雇用され、6,850隻もの艦艇が建造されました。第二次世界大戦後、造船所の業務は艦艇建造からオーバーホールと修理へと移行しました。最後に建造されたのは、1953年に進水したアグレッシブ級掃海艇「ボールド」(USS Bold, AM-424)と「ブルウォーク」(USS Bulwark, AM-425)でした。

現況

現在、造船所はいくつかの区域に分かれ、総面積は1,275エーカー（約5.2平方キロメートル）に及びます。ノーフォーク海軍造船所は、アメリカ海軍が保有する全ての現役艦艇の補修・近代化を担っています。特に、原子力空母が入渠可能な乾ドックを持つ東海岸の数少ない施設の一つです。近隣には、ニューポート・ニューズ造船所があり、そこでは原子力空母の建造と核燃料交換が行われています。

特筆すべき艦艇

チェサピーク (USS Chesapeake): コンスティテューションの姉妹艦で、米英戦争で活躍。
デラウェア (USS Delaware): 西半球で乾ドック入りした最初の船。
バージニア (CSS Virginia): アメリカ連合国海軍の装甲艦。合衆国軍艦メリマックから改装され、ハンプトンローズ海戦でモニターと交戦。
テキサス (USS Texas): 合衆国海軍初の戦艦。
ローリー (USS Raleigh, C-8): 合衆国政府により建造された最初の近代的巡洋艦。
ラングレー (USS Langley, CV-1): 合衆国海軍初の航空母艦。給炭艦ジュピターから改造。
* アラバマ (USS Alabama, BB-60): 本造船所で建造された最後の戦艦。

外部リンク

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