ヴィンチェンツォ・ジョベルティ

ヴィンチェンツォ・ジョベルティについて

ヴィンチェンツォ・ジョベルティ（1801年4月5日 - 1852年10月26日）は、イタリアの統一運動における重要な政治活動家、哲学者、作家であり、その思想や行動がイタリアの形成に大きな影響を与えました。サルデーニャ王国の首相としても知られる彼は、特に著書『イタリア人の倫理的、市民的優位について』において、イタリアの統一を論じ、広く認知されています。

生涯の概要

ジョベルティはイタリアのトリノで生まれ、幼少期に両親を失いました。16歳で聖職者としての道を歩み始め、その後トリノ大学で神学を学びます。1828年、彼はロンバルディア地方を旅する中で、著名な作家アレッサンドロ・マンゾーニと親交を結びます。青年イタリアの思想に影響を受け、ジュゼッペ・マッツィーニの理念に共鳴した彼は、イタリアの統一とオーストリア帝国の支配からの独立を目指すようになります。

彼の考え方は、教皇を中心に据えた中央集権型の国家モデルを志向しており、一般的な武力による革命を否定しました。このため、宗教界や政治界で彼の主張には賛否が分かれました。1833年にはマッツィーニに加担したとして逮捕され、4か月の投獄を経て、裁判なしで国外追放の処分を受けます。最初はパリ、その後ブリュッセルに移住し、1852年まで、さまざまなヨーロッパの都市を転々としました。

著作と思想

国外での生活の中で、ジョベルティは執筆活動に力を注ぎました。1843年に発表した著書『イタリア人の倫理的、市民的優位について』では、イタリアの文化的優越性を主張し、教皇を頂点とする連邦制の国家を提案しました。この背後には、当時のピウス9世の教皇職が近代化に理解を示していた背景もあり、彼は特に保守的な思想の持ち主から注目を集めます。彼は、革命による人民主導の統一を説くマッツィーニとの考え方に違いを持ち、「人民は単なる願望にすぎない」と述べ、革命の道を否定しました。

一方で、同じく統一を目指すチェザーレ・バルボやマッシモ・ダゼーリョとの思想的対立も見られます。彼らは教皇中心の統一を現実的でないと批判しつつも、互いに関税同盟を提唱し、共通のゴールを持っていました。

政治活動とその後

1846年にはカルロ・アルベルトから恩赦を受け、1847年末にサルデーニャ王国に帰国しました。再び政界に進出し、1848年にはサルデーニャ王国首相に就任しましたが、オーストリア帝国と戦争を続ける意向を持つカルロ・アルベルトや皇太子ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世との意見が対立し、わずか2か月で退任を余儀なくされます。

その後、再度ブリュッセルに戻り執筆活動に戻り、1849年には『イタリアの市民革新』を発表し、強い反響を呼びます。しかし、彼の生涯は1852年にパリで終わりを迎えました。ジョベルティの思想とその活動は、イタリアの近代化と統一において今なお影響を持ち続けています。

もう一度検索