ヴェンジェンスオブレイン

ヴェンジェンスオブレイン：香港競馬史に輝く一頭

ヴェンジェンスオブレイン（旧名：サブスクライブ）は、ニュージーランドを故郷とし、香港でその名を馳せた伝説的な競走馬です。父はザビール、母はブルーダイヤモンドステークス（G1）優勝馬のデーンラーという、恵まれた血統を受け継いでいました。母方の妹にはオーストラリアンオークス優勝馬のディゼルもおり、その能力の高さが伺えます。

オーストラリアで3戦1勝という成績を残した後、2004年に香港へ移籍。改名し、新たな挑戦が始まりました。移籍当初は苦戦が続きましたが、2005年、才能が開花します。フェアリーキングプローンハンデキャップを皮切りに、センテナリーヴァーズ（香港G3）、香港ダービー（香港G1）、クイーンエリザベス2世カップ（G1）、香港チャンピオンズ&チャターカップ（香港G1）と5連勝という快挙を達成。香港競馬界を震撼させました。

連勝はナショナルデイカップで途切れたものの、その後も国際カップトライアル（香港G2）、香港カップ（G1）と勝利を重ね、見事ワールドレーシング・チャンピオンシップ総合優勝を果たします。アジア圏の馬として初の快挙でした。24ポイントを獲得した香港カップの勝利は、彼の偉業を決定づけるものとなりました。

しかし、2006年初頭に心臓疾患を発症。ドバイシーマクラシック遠征を断念し、異例のニュージーランドへの海外放牧に出される事態となりました。懸命な治療と休養を経て、心臓は回復。2006-2007シーズンに戦列復帰を果たします。

復帰後は香港カップで3着とまずまずの結果を残し、徐々に調子を上げていきます。スチュワーズカップで惜しくも敗れたものの、香港金杯を制覇。香港調教馬として初の香港2000mG1競走全制覇という偉業を達成しました。そして、念願だったドバイシーマクラシックに挑み、見事勝利。香港調教馬として初の国外2000m以上の国際G1勝利を飾りました。この勝利により、サイレントウィットネスの記録を更新し、歴代香港最多賞金獲得馬となりました。これらの活躍が評価され、「香港馬王（香港年度代表馬）」、「最優秀ステイヤー」、「最高人気馬」の3冠に輝きました。

2007-2008シーズンは、国際マイルトライアルで5着、香港カップで6着とやや低迷。センテナリーヴァーズでは心房細動を発症し、競走中止。これが彼の最後のレースとなり、惜しまれつつ引退することとなりました。

主戦騎手は、2005年1月以降、セイシェル出身のアンソニー・デルペッシュ騎手が務めました。彼の卓越した騎乗も、ヴェンジェンスオブレインの成功に大きく貢献しました。

2011年10月25日、ニュージーランドのケンブリッジスタッドにて永眠。香港競馬史にその名を刻んだ、偉大な競走馬の生涯は幕を閉じました。彼の活躍は、多くの競馬ファンに感動と興奮を与え続け、語り継がれることでしょう。

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