ヴェントゥス (キングダム ハーツ)

ヴェントゥス

スクウェア・エニックスが手掛けるコンピュータゲーム、『キングダム ハーツ シリーズ』に登場する、金髪の少年。愛称は「ヴェン」。日本の声優は内山昂輝氏、北米版はジェシー・マッカートニー氏が担当しています。

概要

『キングダム ハーツ バース バイ スリープ』（BbS）において、マスター・エラクゥスのもとで修行を積む三人のキーブレード使いの弟子の一人として登場します。年齢はおよそ16歳。非常に純粋で明快な性格をしており、目にするものすべてに強い興味を示します。特異なのは、心に一点の闇も存在しないことで、これはセブンプリンセスにも匹敵するほどの純粋な「光の心」を持っているためです。キーブレード使いとしてはまだ未熟な部分もありますが、マスターを目指し、親友のテラとアクアと共に厳しい修行に励んでいます。特にテラに対しては兄のように慕い、二人を非常に大切に思っています。

ヴェントゥスが純粋な光の心を持つに至った背景には、過去に一度心が闇に侵され、そこから再び純粋な光と闇に分かたれたという経緯があります。シリーズの重要人物であるゼアノートやゼムナスが、特定の場所（目覚めの部屋）を探していたのは、ヴェントゥスがそこに存在しているためでした。

各シリーズでの描写

キングダム ハーツ バース バイ スリープ (BbS)

本作では三人の主人公のうちの一人として描かれます。テラとアクアのマスター承認試験を見届けた後、ヴァニタスからテラに関する不穏な言葉を聞き、独自の判断で修行の地「旅立ちの地」を離れ、様々な世界を巡る旅に出ます。

実はかつてマスター・ゼアノートの弟子でした。ゼアノートは当初、ヴェントゥスを自身の計画のための「器」とするべく、ハートレスに追い詰めることで彼の中に眠る闇を引き出そうとしましたが、ヴェントゥスの心が優しすぎたため、闇は解放されませんでした。業を煮やしたゼアノートは、伝説のキーブレード「χブレード」を創造するため、ヴェントゥスの心の闇を強制的に抜き取ります。この結果、ヴェントゥスの「純粋な闇」がヴァニタスとして分離して生まれましたが、この過程でヴェントゥスの心は深刻なダメージを受け、消滅寸前となります。ゼアノートはヴェントゥスの身体をデスティニーアイランドへと運びますが、そこで偶然にも生まれたばかりのソラの心と結ばれたことで、ヴェントゥスの心はかろうじて繋ぎ止められます。ゼアノートはこの出会いを「運命的」と記しています。

その後、ゼアノートの計らいにより、ヴェントゥスは純粋な光の心として育てる目的で、マスター・エラクゥスのもとへ預けられます。一時は昏睡状態に陥りますが、テラとアクアの献身的な介護によって意識を取り戻し、キーブレードマスターとなるための修行を開始します。この時、彼は過去の記憶を全て失っており、自身の出自も忘れていました。当初は感情に乏しかったものの、テラやアクアとの交流を通じて徐々に明るさを取り戻していきます。

物語の終盤、キーブレード墓場でのヴァニタスとの戦いに勝利しますが、同時にヴァニタスと融合し、不完全なχブレードとなってしまいます。完全な融合を目論むヴァニタスと目覚めの園で再び対峙し、激戦の末にヴァニタスを打ち破り、χブレードを破壊します。しかし、自身から生まれたχブレードが壊れた影響で、ヴェントゥスの心も再び消滅の危機に瀕し、身体は深い眠りにつきます。壊れかけた心は光と闇の狭間を彷徨い、幼いソラと心の中で再会した後、ソラの心と一体となります。彼の眠りについた身体は、アクアによって忘却の城と化した旅立ちの地に運ばれ、「目覚めの部屋」で今も眠り続けています。ソラと再会した時の心は、傷ついていたためか、普段のような明るさは失われていました。

キングダム ハーツ Union χ (Uχ)

遥か昔のおとぎ話の時代が舞台となる本作で、ヴェントゥスが古のキーブレード使いであったことが判明します。BbS以降のヴェントゥスはこの時代の記憶を失っています。この頃の彼はBbS時代よりも髪が短く、服装も異なります。

平凡なキーブレード使いであったヴェントゥスは、マスター・アヴァによってダンデライオンに選出され、さらに五人のユニオンリーダーの一人となります。自分が選ばれたことに疑問を感じ、弱気な発言が目立ちましたが、後に本来ユニオンリーダーになるはずだったストレリチアと入れ替わっていたことがブレインによって明かされます。

実は、戦争以前から「闇」の依り代となっていました。力を求める気持ちを「闇」に付け込まれた結果（「闇」曰く、依り代となることは最初から定められていた）、彼は「闇」に操られてストレリチアを消滅させてしまい、その事実を無自覚なまま「アヴァに任命された」と思い込まされていました。ヴェントゥスの中にいた「闇」は、一度彼と融合してから純粋なる闇として分離することで「個」としての自我を獲得します。実体を持たない「闇」が主人公たちを圧倒すると、ヴェントゥスは自身から分離した「純粋な光」である自分自身を「闇」と融合させることで、実体を与え退けようとします。結果的に「闇」の個体を撃退することには成功しますが、ヴェントゥス自身も意識不明の状態に陥ります。最終的に意識が戻らないまま、他のユニオンリーダーと共に箱舟で未来へと跳びました。その終着点はキーブレード墓場であり、そこでマスター・ゼアノートと出会ったことが『ダーク ロード』で描かれています。

キングダム ハーツIII (KHIII)

闇の世界からソラたちに救出されたアクアが、忘却の城の封印を解いたことで、眠りについていたヴェントゥスの身体が発見されます。アクアの呼びかけにも目覚めませんでしたが、ヴァニタスにアクアが追い詰められた際、ソラが取り戻した「目覚めの力」によって心が解放され、ついに復活を果たします。この時、ソラと初めて対面し、ヴァニタスと同じ顔を持つソラに驚きつつも理由を察し、「ヴェン」と呼ぶよう促し握手を交わします。アクアとも再会を果たし、テラを救出することを改めて誓います。

真XIII機関との最終決戦に参加しますが、テラ＝ゼアノートに不意打ちを受けて倒れます。その後、ハートレスの攻撃で仲間たちと共に心を奪われますが、再びソラによって復活。留まりし思念の登場により、倒された事実が上書きされます。戦争中はアクアと共にテラ＝ゼアノート、ヴァニタスと戦い、ソラの協力も得て勝利します。ヴァニタスに共生を説くも聞き入れられず、その消滅を見届けます。テラ＝ゼアノートに追いつめられますが、彼を守護していたテラのハートレスに助けられ、肉体を取り戻したテラと感動の再会を果たしました。最終決戦では他の光の守護者たちと共に最後まで戦い抜き、自身と同じ姿をしたロクサスや、テラに宿っていたマスター・エラクゥスの心とも再会します。エラクゥスから謝罪を受け、マスター・ゼアノートと共に昇天する姿を涙ながらに見送りました。戦いの後、旅立ちの地に戻りますが、1年後にソラを捜すため、テラ、アクアと共に再び闇の世界へと旅立つことを決めます。

『ReMIND』では、ヴァニタスがヴェントゥスの中に隠れていただけで本来は別の存在であるという、これまでの認識を覆す事実が示唆されます。

キングダム ハーツ ダーク ロード (DR)

『Uχ』のエンディング後、マスター・ゼアノートと出会った当時の姿が描かれます。ゼアノートがマジックミラーに問いかけたことで、ヴェントゥスがキーブレード墓場にいると知らされ、発見に至ります。その後、BbSで描かれた経緯を経て、マスター・エラクゥスに預けられます。ヴァニタスがヴェントゥスから分かれた存在ではなく、別の存在がヴェントゥスに宿ったことが明確に述べられており、ゼアノートは『Uχ』でヴェントゥスと融合した「始祖の闇」が自我を得たものだと推測しています。

能力と戦闘スタイル

『BbS』における三人の主人公の中で、ヴェントゥスは素早い連続攻撃を特徴とするスピード・コンボタイプのキーブレード使いです。キーブレードを逆手で構えて戦うのが特徴です。他の二人（テラ、アクア）に比べると、攻撃力や体力はやや低いものの、非常に身軽な動きでスタンダードな戦闘が可能です。

主なキーブレード

フレッシュブリーズ: 『BbS』における初期装備。柄の端から剣身が伸びる珍しいデザインです。
ラスカルフレイム: 火を連想させるデザインで、剣身の根元に顔のような装飾があります。
ロストメモリー: 所々に翼を模したデザインが見られます。
アルテマウェポン: シリーズ共通の最強クラスのキーブレードの一つ。

専用コマンドスタイル

スピードレイヴ: 攻撃速度が向上するコマンドスタイル。
サイクロン: 風の力を利用したコマンドスタイル。
ウィングブレード: 翼を用いたコマンドスタイル。

専用シュートロックコマンド

パルスボム: キーブレードの先端からエネルギー弾を発射し、複数の小爆発を引き起こします。
* マルチボーテックス: 風の力を借りてキーブレードを高速回転させ、持続的な攻撃を行います。

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