ヴォルィーニ州

ヴォルィーニ州は、ウクライナの北西部に位置する州で、州都はルーツィクです。この地域は、西にポーランド、北にベラルーシと国境を接しており、その地理的な位置から歴史的に様々な勢力の影響を受けてきました。

歴史

ヴォルィーニは、中世のキエフ・ルーシの一部であり、その後、ハールィチ・ヴォルィーニ大公国によって支配されました。14世紀にはリトアニア大公国の支配下に入り、1569年にはポーランド王国、1795年からはロシア帝国の支配を受けました。ロシア帝国時代にはヴォルィーニ県の一部として行政区画が定められました。ウクライナ内戦時代にはポーランド第二共和制のヴォリンスキエ県に組み込まれていました。

1939年、独ソ不可侵条約によってポーランドがナチス・ドイツとソ連に分割占領されると、ヴォルィーニはウクライナ・ソビエト社会主義共和国に併合され、州が編成されました。多くのウクライナ人はこの併合を歓迎しましたが、ポーランド人や反ソ連派のウクライナ人は厳しい運命に見舞われました。ポーランド人、特に退役軍人や知識人はシベリアなどの遠隔地へ追放され、過酷な労働環境で命を落としました。

1941年にはナチス・ドイツが侵攻し、地元協力者の支援を得て、1942年末までにヴォルィーニ在住のユダヤ人のホロコーストが実行されました。一方、ドイツ占領直後からパルチザン活動が活発化し、地元住民の多くがパルチザンに加わりました。ポーランド人も国内軍に参加し、パルチザンと共同でドイツ軍と戦いました。

1942年にはウクライナ独立を目指すウクライナ蜂起軍（UPA）が活動を開始しました。UPAはドイツ軍やポーランド国内軍と戦い、第二次世界大戦後はソ連軍とも戦いを続けました。しかし、UPAはヴォルィーニに住むポーランド人に対する民族浄化にも深く関わり、数万人のポーランド人が犠牲となりました。ポーランド人のパルチザンもUPAの民族浄化に報復し、多くのウクライナ人が殺害されました。

1944年1月、ソ連軍がナチス・ドイツからヴォルィーニを奪還しました。戦後、ポーランドとソ連の国境はカーゾン線に基づいて再編され、ヴォルィーニはウクライナ・ソビエト社会主義共和国の一部となりました。ポーランド人は旧ドイツ東部領土へ、ホールム周辺のウクライナ人はウクライナへ移住しました。また、UPAの活動に関連して、ヴィスワ作戦により多くのウクライナ人がポーランドから追放されました。

戦後、ヴォルィーニは急速な工業化を経験しましたが、旧ソ連の中でも開発が遅れた地域の一つでした。現在でも、投資不足やインフラの老朽化により、ウクライナの中でも貧しい地域となっています。さらに、一部の地域はチェルノブイリ原発事故による深刻な汚染の影響を受けています。

都市

ヴォルィーニ州には、以下のような主要な都市があります。

ヴォロディームィル＝ヴォルィーンシキー
ウスティルーフ
カーミニ・カシールシキー
キーヴェルツィ
コーヴェリ
ノヴォヴォルィーンシク
ベレステーチコ
ホローヒウ
リュボームリ
ルーツィク
ロジーシチェ

人口

2001年のウクライナ国勢調査によると、ヴォルィーニ州の総人口は1,060,700人でした。都市人口と農村人口はほぼ半々で、男性よりも女性の人口が多くなっています。

総人口：1,060,700人
都市人口：533,200人（50%）
農村人口：527,500人（50%）
男性：500,100人（47%）
女性：560,600人（53%）

ヴォルィーニ州は、その長い歴史の中で様々な民族や文化が交錯し、複雑な過去を背負っています。しかし、現在ではウクライナの重要な一部として、その発展を目指しています。

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