ヴォワロン

フランス、イゼール県のコミューン、ヴォワロン

ヴォワロンは、フランスのオーヴェルニュ＝ローヌ＝アルプ地域圏、イゼール県に位置するコミューンです。グルノーブルの北西約40km、シャンベリーの南西約68kmに位置し、豊かな歴史と文化を持つ地域です。

歴史

ヴォワロンの地には、古代ローマ時代にSalmorungumという小さな市場町が存在していました。その存在は、ヴォワロン西方のバイパス工事中に発見されたローマ時代のヴィッラ遺跡によって明らかになりました。フォーブール・セルモランという地名は、かつてのローマ都市を彷彿とさせます。また、この地にはローマの前哨基地であるオッピドゥムも存在していました。

中世のヴォワロンは小さな村でしたが、ドーフィネ（1029年から1355年までサヴォイア領）との国境に接していたため、商業の要所として発展しました。ヴィエンヌやグルノーブルよりも商業的な利益を得ていたとされています。当時の面影を残すものとして、バラル城の一部であったバラルの塔が残っています。1355年のパリ条約によって、ヴォワロンはフランス王国に正式に併合され、ドーフィネの住民となりました。

主要な道路網が整備されていなかった当時、ヴォワロンは地方の僻地でした。住民はアサを栽培し、その余剰品を市場で販売していました。サヴォイア伯が付与した税額控除によって商業は急速に発展し、1511年にはルイ12世がアサ織物の生産量増加と貿易拡大を後押しする特権を承認しました。1550年代には、ヴォワロンのアサ織物業は多様化し、「ド・ヴェニス」と呼ばれる高品質な織物が生産されました。ヴェニス通りという地名は、当時織物店が並んでいたことに由来します。

1700年頃、ヴォワロンでは約1200人がアサ製造に関わっていました。18世紀初頭には、1200人がアサ栽培に従事し、2760台の織機があったと記録されています。ヴォワロンのキャンバス地は高い評判を得ていましたが、フランス革命によってルイ12世が与えた特権は失効しました。しかし、キャンバス地の生産は止まることなく、フランス第一帝政下でも軍の需要に応えて評判を維持しました。19世紀に入ると、ヴォワロンのキャンバス生地は、麻や綿との競争、帆船の衰退によって衰退していきました。

ヴォワロンでは絹織物の評判が高まりました。安い女性労働力が工場に集められ、薄給で働いていたことがヴォワロンの利点でした。第一次世界大戦前夜には、約3000人が絹織物に従事していました。モルジュ川の河岸には製紙工場が建設され、多くの労働者が集まりました。1876年には、サン＝ブリュノ教会が建立され、まちに宗教的な影響を与えました。

20世紀には、産業革命、織物と製紙の衰退、コミューン基幹産業の出現がありました。1907年にはアベル・ロシニョールによってロシニョールが設立され、ヴォワロンは15000人以上の人口を抱えるまでに成長しました。

現在のヴォワロンは、1万人以上の雇用を抱え、ロシニョールやジョンソン・エンド・ジョンソンが撤退した後も新しい産業を持つ、イゼール県の経済と行政の中心地です。ヴォワロンは、グルノーブルとともに50万人の都市圏を形成しています。

労働組合

ヴォワロンは、パリやリヨンに次いで、キリスト教系労働組合活動の生誕地です。1906年には繊維産業の労働者が賃金カットに反対してゼネラル・ストライキを起こしました。このストライキをきっかけに、ヴォワロンの繊維産業労働者による自由労働組合、女性の労働組合が結成されました。1936年、この労働組合は、イゼール県の男性の自由組合と統合しました。

人口統計

参照元:EhessとINSEE

文化的遺産

サン＝ブリュノ教会 - ネオゴシック様式
サン＝ピエール教会
バラルの塔
ヴォワロンのシャルトルーズ修道院のカーヴ - シャルトルーズ会の修道士たちが運営するシャルトリューズのセラー。毎年15万人が訪れる

姉妹都市

バッサーノ・デル・グラッパ、イタリア
ドロイトウィッチ・スパ、イギリス
クライス・ヘルフォルト、ドイツ
シベニク、クロアチア

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