ヴォークラン級大型駆逐艦

ヴォークラン級大型駆逐艦について

ヴォークラン級大型駆逐艦（Contre-Torpilleur classe Vauquelin）は、フランス海軍が1920年代後半から1930年代にかけて建造した大型駆逐艦の艦級です。合計6隻が建造され、第二次世界大戦初期にはフランス海軍の主力駆逐艦として活躍しました。本級は、先行するエーグル級大型駆逐艦の設計を基に、若干の改良を加えた準同型艦として建造されました。

開発と設計

ヴォークラン級は、1928年度と1929年度の海軍計画に基づき、エーグル級の発展型として計画されました。外観上の差異は少なく、両艦級は非常に良く似ています。主な相違点は、魚雷発射管の増設にあります。これは、当時のフランス海軍が重視した水雷戦能力の強化を反映したものでした。

船体構造は、長船首楼型を採用し、高速性能を追求した設計となっています。艦橋構造は、当時としては比較的大型で、良好な視界を確保していました。武装は、主砲として138.6mm連装砲を4基搭載し、対空火器としては37mm機関砲と13.2mm機銃を装備していました。対艦攻撃用には、550mm魚雷発射管を7基搭載しており、強力な雷撃能力を有していました。

主要な性能諸元

• - 基準排水量：約2,441トン
• - 全長：129.3メートル
• - 全幅：11.8メートル
• - 吃水：4.8メートル
• - 機関：蒸気タービン、4軸推進
• - 出力：約64,000馬力
• - 最大速度：36ノット
• - 乗員：約240名

戦歴

ヴォークラン級は、第二次世界大戦開戦時にはフランス海軍の主要な駆逐戦力として活躍しました。しかし、1940年のフランス降伏に伴い、その運命は大きく変化しました。

1940年6月には、「マイレ・ブレゼ」が搭載していた魚雷の暴発事故により沈没しました。1941年には、「シュヴァリエ・ポール」がイギリス軍機の空爆によって戦没しました。残りの4隻は、ドイツ軍による接収を恐れ、1942年11月にトゥーロンで自沈処分されました。これにより、ヴォークラン級の全艦が失われるという悲劇的な結末を迎えました。

同型艦一覧

以下に、ヴォークラン級の同型艦を示します。

1. ヴォークラン (Vauquelin)
2. タルテュ (Tartu)
3. マイレ・ブレゼ (Maillé Brézé)
4. カサール (Cassard)
5. シュヴァリエ・ポール (Chevalier Paul)
6. ケルサン (Kersaint)

まとめ

ヴォークラン級大型駆逐艦は、フランス海軍の駆逐艦戦力を支えた重要な存在でしたが、第二次世界大戦の激動の中で、全艦が失われるという悲劇的な運命をたどりました。その設計は、エーグル級を基盤としつつも、魚雷兵装の強化など、当時のフランス海軍の戦略思想を反映したものでした。

参考資料

• - 「世界の艦船増刊第17集　第2次大戦のフランス軍艦」(海人社)

外部リンク

• - フランス国防省
• - uboat.net

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