ヴラジーミル・フェルツマン

ヴラジーミル・フェルツマン

ヴラジーミル・オスカロヴィチ・フェルツマン（Vladimir Oskarovich Feltsman, 1952年1月8日 - ）は、ロシア出身のピアニストです。

生い立ちと音楽の道

1952年、モスクワで作曲家オスカー・フェルツマンの息子として生まれました。幼い頃から音楽の才能を発揮し、11歳でモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団と共演しデビュー。1967年にはプラハのコンチェルティーナ国際コンクールで優勝するなど、早くからその才能を世界に示しました。モスクワ音楽院では、名教師ヤコフ・フリエールの指導を受け、研鑽を積みました。1971年には、パリのロン＝ティボー国際コンクールでも優勝を果たし、国際的なピアニストとしての地位を確立しました。

ソ連からの出国とアメリカでの活躍

1979年、ソビエト連邦のイデオロギーや芸術に対する政府の統制に不満を抱き、ソ連からの出国を申請。これにより、公の場での演奏活動を禁止されました。その後、8年間の苦難を経て、1987年にようやく出国許可を得てアメリカへ移住しました。1995年にはアメリカ国籍を取得し、以降、アメリカを拠点に国際的な演奏活動を展開しています。マネス音楽院やニューヨーク州立大学で教鞭を執り、後進の育成にも力を注ぎました。また、国際フェスティバル・インスティテュート・ピアノ・サマーを設立するなど、教育活動にも積極的に取り組んでいます。現在は妻のヘウォンと共にニューヨーク州北部に居住しています。

演奏活動

フェルツマンは、ニューヨーク・フィルハーモニック、ロンドン交響楽団、シンガポール交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団など、世界有数のオーケストラと共演。その演奏は、常に高い評価を得ています。特にフォルテピアノでの演奏に力を入れており、アントン・ワルター製のフォルテピアノのレプリカでモーツァルトのソナタ全曲を演奏したことは特筆に値します。また、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番やモーツァルトのピアノ協奏曲第27番など、古典派からロマン派の幅広い作品を演奏しています。

レコーディング

フェルツマンは、数多くの録音を残しています。バッハの鍵盤作品の6組のアルバムをはじめ、ベートーヴェンの後期の5つのピアノソナタ、シューベルト、ショパン、リスト、ブラームスなど、幅広い作曲家の作品を録音。また、バッハ、ショパン、チャイコフスキー、ラフマニノフ、プロコフィエフなどの協奏曲も録音しており、その卓越した演奏技術と音楽性を堪能することができます。

まとめ

ヴラジーミル・フェルツマンは、その卓越した技術と豊かな音楽性で、世界中の聴衆を魅了し続けるピアニストです。ソ連という厳しい環境で育ちながらも、自身の信念を貫き、国際的な舞台で活躍を続けています。特にフォルテピアノへの情熱は深く、古楽器演奏の分野においても重要な存在となっています。

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