ヴルシャツ

ヴルシャツ：多様な文化が息づくセルビアの古都

ヴルシャツ（セルビア語: Вршац/Vršac）は、セルビア北部のヴォイヴォディナ自治州に位置する都市です。ハンガリー、ルーマニア、ドイツなど、様々な文化の影響を受けてきたこの地は、多様な歴史と文化が織りなす独特の魅力を放っています。

都市名の由来と多様な表記

ヴルシャツという地名は、スラヴ語で「頂上」を意味する「vrh」に由来します。この地が様々な文化の影響を受けてきたことを反映し、ルーマニア語では「ヴルシェVârşeţ」、ハンガリー語では「ヴェルシェツVersec」、ドイツ語では「ヴァルスケッツWerschetz」など、多様な表記や呼称が存在します。

古代から近現代までの歴史

ヴルシャツ周辺では、旧石器時代や新石器時代に遡る人の生活の痕跡が発見されています。スタルチェヴォ文化やヴィンツァ文化といった新石器時代の文化、青銅器時代のヴァティン文化、鉄器時代のケルト人などの痕跡が残っています。古代にはダキア人やローマ人が居住し、中世にはブルガリア帝国やハンガリー王国の支配を受けました。オスマン帝国の支配下に入った時期もありましたが、18世紀にはハプスブルク家の支配下となり、その後、オーストリア＝ハンガリー帝国の一部となりました。第一次世界大戦後、ユーゴスラビア王国の一部となり、現代に至ります。

多様な民族構成と文化

ヴルシャツは、セルビア人、ドイツ人、ルーマニア人、ハンガリー人など、多様な民族が暮らす地域です。18世紀以降、ドイツ人の入植が進み、セルビア人地区とドイツ人地区が形成されました。それぞれの民族が独自の文化や伝統を守りながら共存しており、その多様性がヴルシャツの魅力となっています。

経済と産業

ヴルシャツは、製薬、ワイン、ビールなどの酒造、製菓、織物などの工業が発達しています。特にワイン造りは古くから盛んで、ヴルシャツ周辺には広大なブドウ畑が広がっています。また、肥沃な土地を生かした農業も盛んで、南バナト地域の農業の中心地となっています。

見どころ

ヴルシャツ城：15世紀に遡るヴルシャツ城は、町のシンボルとして親しまれています。標高399mの丘の上に位置し、ヴルシャツ市街を一望できます。セルビア人君主ジョルジュ・ブランコヴィッチによって建てられたという説と、中世の要塞エデスムルの跡地に建てられたという説があります。
ミレニアムスポーツセンター：2002年に完成したミレニアムスポーツセンターは、スポーツイベントやコンサートなどが開催される多目的施設です。
* ブドウ畑：ヴルシャツ周辺には広大なブドウ畑が広がっており、ワイン好きにはたまらない場所です。地元のワイナリーでは、ワインの試飲や購入ができます。

ヴルシャツへのアクセス

ヴルシャツへは、ベオグラードからバスまたは鉄道でアクセスできます。ベオグラードからヴルシャツまでの所要時間は、バスで約2時間、鉄道で約3時間です。

ヴルシャツは、豊かな歴史と文化、美しい自然が魅力の都市です。セルビアを訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

地区

ヴルシャツ基礎自治体は、以下の地区で構成されています。

Vatin, Veliko Središte, Vlajkovac, Vojvodinci, Vršački Ritovi, Gudurica, Zagajica, Izbište, Jablanka, Kuštilj, Mali Žam, Malo Središte, Markovac, Mesić, Orešac, Pavliš, Parta, Potporanj, Ritiševo, Sočica, Straža, Uljma, Šušara

ハンガリー系やルーマニア系の住民が多い地区では、それぞれの言語での名称も用いられています。

もう一度検索