一〇〇式三十七粍戦車砲

一〇〇式三十七粍戦車砲

概要

一〇〇式三十七粍戦車砲（100しき37みりせんしゃほう）は、大日本帝国陸軍において1939年に開発が始まった37mm口径の戦車砲です。この砲は主に九八式軽戦車の主砲として用いられ、同時期に開発されていた九四式三十七粍戦車砲の改良型として位置づけられています。

開発の背景には、九四式三十七粍戦車砲の威力を高めることと、九四式三十七粍砲との弾薬の共用をはかる目的がありました。1939年12月に試製砲が発注され、1940年には試験が行われました。この過程で、車載重機関銃との統合や機能、弾道性のテストも実施され、1941年2月には陸軍戦車学校や陸軍騎兵学校での実用試験が行われ、実用性が確認されました。この結果を受けて、さらなる修正が施された後、制式化の提案がなされました。

この砲は、九八式三十七粍戦車砲と同様の構造を持ちつつ、砲身の延長や砲架の二連装化が特徴です。また、砲塔の旋回に依存せずに独自の射界を持つ設計となっており、照準方法も九〇式五糎七戦車砲以降の日本陸軍の標準的な軽口径戦車砲のスタイルを踏襲しています。弾薬に関しては、九四式三十七粍砲や九八式三十七粍戦車砲と共用が可能で、製造数は1942年10月の時点で40門に達していました。

装甲貫徹能力

一〇〇式三十七粍戦車砲の貫通能力は、主に使用する弾薬の特性によって決まります。近似する性能を有する九四式三十七粍砲のデータに基づくと、九四式徹甲弾は特定の距離において異なる厚さの装甲を貫通する能力を持っています。具体的には、350メートルの距離で30mmの装甲を貫通し、800メートルでは25mm、1000メートルでは20mmの装甲を貫通する力を示しています。

さらに、一式徹甲弾に関するデータもあり、射距離1000メートルにおいては25mmを貫通できる能力があります。これらの徹甲弾は、実際には炸薬を内蔵した設計で、貫通後に内部で爆発することによって敵戦車内の乗員や装備を致命的に損傷させることが期待されていました。

結論

一〇〇式三十七粍戦車砲は、日本陸軍の戦車戦において重要な役割を果たしました。九八式軽戦車との相性が良く、高い性能を誇る武器でしたが、戦争の進展とともにより強力な武器へのアップグレードの必要性が生じることになります。戦車砲としての設計と性能は、当時の技術水準を反映しており、今後の研究や考察においても重要な対象となります。

参考文献

• - 陸軍技術本部長 岸本綾夫「九四式37粍砲弾薬九四式徹甲弾外4点仮制式制定の件（大日記甲輯昭和11年）」アジア歴史資料センター
• - U.S. Department of War, Military Intelligence Division. Special Series No.34, 1945年8月
• - 佐山二郎『日本陸軍の火砲　歩兵砲　対戦車砲　他』光人社NF文庫、2011年

関連項目

• - 戦車砲
• - 大日本帝国陸軍兵器一覧

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