九四式三十七粍戦車砲

九四式三十七粍戦車砲について

九四式三十七粍戦車砲（94しき37みりせんしゃほう）は、1934年に大日本帝国陸軍によって開発された口径37mmの戦車砲です。本砲は当初、九五式重戦車の副砲として設計され、その後、九五式軽戦車や九七式軽装甲車などの主砲として広く利用されました。

開発の経緯

本砲の開発は、陸軍技術本部による審査命令に基づいて始まりました。1932年3月30日、陸軍は試製重戦車、のちの九五式重戦車に装備するため、九四式七糎戦車砲とともに本砲の設計を進めました。試作砲は1933年12月に完成し、試験を経てその性能が確認されました。1934年には弾道性や機能の試験を行い、実用試験を経て、3月に仮制式化されました。

構造と機能

九四式三十七粍戦車砲の砲身は単肉鋼製で、全長は1358.5mm（36.7口径）で、16条の施条が施されています。閉鎖機は垂直自動式であり、撃発機構は引き落とし式です。駐退機は水圧式で組み込まれています。砲架は鋳鋼製の箱型構造で、砲身の方向運動と上下運動を可能にする設計となっています。照準器は単眼鏡式で、倍率は2倍、視野は20度です。また、砲手は膝の屈伸を使用して、車内の振動に応じて照準を微調整することが可能でした。

この砲は、戦車の発射方法として「行進射」を訓練に用いることがありました。これは、低速で移動しながら射撃を行う方法で、より高精度な射撃を保証するために、基本的に停止してから発砲する「躍進射」や「停止射」と組み合わせて使用されました。

使用される砲弾

本砲で使用される砲弾は、軟目標に対しては榴弾や徹甲弾があり、具体的には九四式榴弾および九四式徹甲弾が一般的に使用されていました。演習用には代用弾が開発され、実戦でも成果が確認されています。しかし、当時の日本の冶金技術の限界により、貫通能力については課題が指摘されることがありました。

改良と後継型

本砲の進化系として九八式三十七粍戦車砲が開発され、薬室を拡大し装甲貫通性能を向上させる試みが行われました。この新型砲は、より高い威力を持つ弾薬を利用できるように設計され、実戦での効果が期待されました。

運用

九四式三十七粍戦車砲は、九五式重戦車、九五式軽戦車、九七式軽装甲車など、さまざまな車両に搭載されていました。また、指揮戦車「シキ」にも装備されるなど、多くの用途で使用されました。航空機にも搭載される例があり、戦闘機「屠龍」乙型では実装されていましたが、命中率には課題が残りました。

このように、九四式三十七粍戦車砲は日本の陸軍戦力の重要な一翼を担った兵器であり、戦車戦において幅広く活用されました。

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