一〇〇式機関短銃

一〇〇式機関短銃

一〇〇式機関短銃（ひゃくしききかんたんじゅう）は、第二次世界大戦中に日本軍で唯一制式化された短機関銃です。日本における短機関銃の歴史は、第一次世界大戦後の1920年に遡ります。この時、陸軍技術本部は自動小銃に関する予備研究の一環として、自働短銃の技術研究を始めました。ドイツ製のMP18やアメリカ製のトンプソン短機関銃を参考にした研究が行われ、外国製品の分解や検証を通じて、日本独自の銃器開発に着手しました。

開発経緯

1920年、大正9年に陸軍技術本部は自働短銃の開発に進み、様々な弾薬の選定が行われました。しかし、初期に選定された6.5mm弾や7mm南部弾などは満足のいく結果が得られず、最終的には8mm南部弾が選ばれることとなりました。その後、1923年には試製自働短銃の設計が開始され、1927年には試製自働短銃1927年型が完成しました。これは、全長690mm、重さ3.2kgのブローバック方式の銃で、50発のドラムマガジンや30発のボックスマガジンを使用しましたが、発射速度が高すぎるといった問題を抱えていました。

次の年の1928年には全く異なる設計の試製自働短銃1928年型が登場し、こちらも試験の結果不採用となりました。1931年には満州事変の影響を受け、開発が一時停滞しました。1935年には、南部式機関短銃の開発が進められ、南部銃製造所で試作が行われました。そして、1936年には「試製一型機関短銃」と「試製二型機関短銃」が製作されました。

一〇〇式機関短銃の特徴と設計

一〇〇式機関短銃は、1939年の試製三型機関短銃を経て、1941年に正式に採用されました。特徴として、30発の弾倉を横に装填する方式を採用しており、定評のある発射機構や様々な改良が施された点が挙げられます。特に、照準安定のための二脚、1500mまで狙える照尺、銃剣装置が付け加えられており、騎兵の要求にも応じた設計がなされていました。

また、初期型ではワンピース型の銃床が採用し、後に折りたたみ式も存在しました。こうした設計は、特に軽機動部隊や騎兵部隊にとって有用でした。機関短銃の作動方式はシンプルなブローバックで、銃身は固定式でした。

毎月の生産と戦場での運用

この銃は、名古屋造兵廠鳥居松で昭和19年から月間1000挺のペースで生産され、総生産数は約10,000挺に達しました。しかし、その多くが前線には届かず、主に総力戦を支える部隊に配備されていました。前線での実用例は少なかったものの、特定の戦闘では一〇〇式機関短銃が使用された記録も残っています。特に1945年の沖縄戦においては、義烈空挺隊の隊員がこの銃を使用して、その有用性を示すこととなりました。

長所と短所

この銃の長所には相対的に装弾数が多く、軽量であることが含まれますが、弾倉の形状によりバランスを欠くという短所もありました。また、製造上の困難から品質の低下があったため、実用上のあらゆる問題が学校兵の訓練などに影響を及ぼしました。

近年、この一〇〇式機関短銃は数少ない生存例があるものの、大部分は戦後に廃棄処分されており、非常に貴重な存在となっています。映画や漫画、ゲームなどのフィクションでも取り上げられ、多くの人々にその名を知られています。特に、戦場まんがシリーズやコールオブデューティなどでの登場は、多くのファンに支持されています。

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