一乃矢藤太郎

一乃矢藤太郎の生涯

一乃矢藤太郎（いちのや とうたろう）は、1937年6月30日に青森県南津軽郡田舎館村で生まれました。本名を須藤良一といい、春日野部屋に所属した大相撲力士です。173cm、86kgという体格で、右四つ、寄りを得意としていました。

生い立ちと角界入り

一乃矢は、明治時代に活躍した大関・一ノ矢藤太郎の曾孫にあたります。同郷の力士である栃ノ森（後に栃ノ関）の実兄が角界入りの橋渡し役となり、中学校卒業後に春日野部屋へ入門しました。入門の際には、栃ノ森が迎えに来てくれたというエピソードがあります。1953年5月場所に初土俵を踏み、当初の四股名は本名と同じ「須藤」でした。

力士としての軌跡

1957年3月場所から、曾祖父ゆかりの「一ノ矢」に改名し、後に「一乃矢」へ変更。1958年5月場所で新十両に昇進しました。しかし、十両と幕下を行き来する間に、小学校・中学校の同級生であった栃ノ海（花田）に先を越される形となりました。1961年7月場所に新入幕を果たし、1962年7月場所まで7場所連続で幕内に在籍。同年3月場所では、横綱・大関陣との対戦に挑みましたが、2勝13敗と大きく負け越しています。この時の2勝のうち1勝は、横綱・若乃花の最後の取組としての不戦勝、もう1勝はこの場所で引退した元関脇・北の洋からのものでした。

右四つからの寄りを武器とする相撲巧者でしたが、小柄な体格と決め手の無さから、上位陣には通用しませんでした。十両陥落後、四股名を再度「一ノ矢」に戻しましたが、幕内復帰は叶わず、1964年7月場所後に27歳で引退しました。

引退後

故郷の青森に戻った一乃矢は、弘前市内で「一乃矢食堂」を経営しました。1977年4月19日、心筋梗塞により39歳の若さで亡くなりましたが、「一乃矢食堂」は現在も営業を続けています。店内には、断髪式の写真が飾られているそうです。

主な成績と記録

通算成績は317勝323敗2分9休、勝率は.495。幕内成績は44勝61敗で、勝率は.419でした。現役在位は59場所、幕内在位は7場所でした。

改名歴

須藤 良一（1953年9月場所-1957年1月場所）
一ノ矢 藤太郎（1957年3月場所-1958年1月場所、1963年7月場所-1963年9月場所）
一乃矢 藤太郎（1958年3月場所-1963年5月場所、1963年11月場所-1964年7月場所）

参考文献

『戦後新入幕力士物語 第2巻』（佐竹義惇著、ベースボール・マガジン社、1990年）p433-p436

関連項目

* 大相撲力士一覧

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