一之臺 (種子島氏)

一之臺（いちのだい）は、天文6年（1537年）に生まれ、元和5年（1619年）に没した、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武家の女性です。彼女は、島津氏の当主である島津義久の継室、妙連夫人（種子島時尭の娘）に女房として仕えていました。出自は種子島氏の庶流、国上能登守時通の娘とされていますが、本名は伝わっていません。

島津義久の継室が亡くなった後、一之臺はその卓越した能力を買われ、義久より大奥の取り仕切りを任されることになりました。長年にわたり大奥を治めた功績が認められ、彼女は小濱村に1千石の采地を与えられました。この地は、彼女の死後、見隆寺という寺が建立され、その菩提を弔う場所となりました。

また、一之臺は義久から、伊勢長門守貞清の次男（伊勢貞昌や東郷重尚の従兄弟にあたる）を養子として迎えることを許されました。この養子は、一之臺の養弟となり、北条主水佐時盛と名乗って一之臺の名跡を相続しました。

さらに、時盛の養子である十郎（和田讃岐正貞と東郷肥前重信の娘との子）の時代、寛文6年（1666年）には、家督を継いだ種子島久時の命により、一之臺の家系は種子島氏に復することになり、十郎は種子島次郎右衛門時貞と改名しました。

時貞は、稲富流砲術や弓馬術（馬術）の名手として知られていますが、古示現流の創始者であるという説もあります。一之臺の家系は、彼女の死後も、その養子や養孫を通じて、種子島氏の中で重要な役割を果たし続けたと言えるでしょう。

この一連の出来事は、『種子島氏支族美座対馬守時里二男国上氏系図』（「伊地知季安著作集三」の『諸家系図文書四』の史料）にも記録されており、一之臺の生涯とその影響力を知る上で貴重な情報源となっています。

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