一升桝遺跡

一升桝遺跡について

一升桝遺跡（いっしょうますいせき）は、神奈川県鎌倉市に位置する日本の城郭跡であり、2007年に国の史跡に指定されました。この遺跡は、鎌倉市西部に位置する極楽寺地区と大仏切通の間にある標高約90メートルの丘陵の尾根にあり、その周囲は急な斜面に囲まれています。最寄りの江ノ島電鉄・極楽寺駅からはアクセスが困難で、長谷駅からは徒歩で40分の道のりを要します。

遺跡の構造

一升桝遺跡は、方形の土塁で囲まれた単郭の城郭と考えられています。標高は94メートルに達し、土塁は高さ1.5メートルから2.8メートル、幅は5メートルから8メートルで形成されています。土塁によって囲まれた区域は平坦で、台形を呈しており、南西側では出入り口があったと推定される部分が存在します。

この遺構には、東辺と西辺に帯曲輪状の平らな部分があり、これが尾根道である可能性があります。また、北側には幅約6メートルの堀切が設けられており、内側の土塁と外側の構造を区別しています。

発掘調査

2000年には、神奈川県教育委員会と鎌倉市教育委員会が中心となって遺構分布調査および発掘調査が行われました。この際、遺跡周辺で12箇所のトレンチ調査が実施され、北側の部分からは削出し土塁が確認され、南側の部分では泥岩塊の積上げによる土塁が見つかりました。調査の結果、13世紀後半の古瀬戸の破片や、かわらけ、常滑焼の甕などが出土しました。

これらの証拠から、一升桝遺跡は交通路の監視や防衛を目的にした城郭であり、13世紀後半から14世紀前半にかけて機能していたと考えられています。

五合桝遺跡との関係

一升桝遺跡から南東約700メートルの場所には、国の史跡である五合桝遺跡（ごんごうますいせき）があります。五合桝遺跡もまた防衛施設として機能していましたが、後に石塔などを祀る供養の場に移行したと推測されています。両者は鎌倉時代後半から南北朝時代前半に関連する文化的重要性を持ち、鎌倉市や文化庁によってその歴史的価値が強調されています。

城郭としての見方

一般的には一升桝遺跡が城郭であると位置付けられていますが、研究者の西股総生氏はこの遺構におけるいくつかの特徴から、元々は寺院などであり、臨時的に城郭として利用された可能性があると指摘しています。また、築城時期については、15世紀頃にあたる永享の乱や享徳の乱の初期頃と考えるのが妥当だとされ、さらなる研究が待たれています。

これらの情報を通して、一升桝遺跡は中世の日本における城郭の研究や文化史の理解において、重要な事例であるといえるでしょう。

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