一品親王

一品親王とは

一品親王（いっぽんしんのう）は、日本の律令制における皇親に与えられる最高の位である一品を指します。広義においては、一品内親王を含むこともあります。この制度の下では、皇親に対する序列を明確にし、一品が掲げられた理由や歴史的な背景が存在します。

待遇

一品親王には、80町の位田と800戸の品封が支給されました。文献によっては600戸と記載されることもあります。また、家庭の運営を支えるために、文学者や家令、扶養者、大従、小従、大書吏、小書吏などが各1名ずつ派遣されました。地位としては正一位や従一位と同様に扱われ、その待遇は上回るものでした。さらに、正一位または従一位に就任する資格も有していましたが、生前に太政大臣に就任した一品親王は存在しません。

資格と地位

一品親王は天皇や皇太子を除く皇親の中で最も高い地位を示します。ただし、その品位は天皇との関係、母親の出自、年齢、経歴、さらには社会的評価などに基づいて決定されることが多く、一品親王と皇位継承に直接的な関連性があるわけではありません。むしろ、皇位継承を放棄した有力な皇親に対して、一品の位を授ける例もありました。具体的には、為平親王や敦康親王がそうした例です。一方、一品親王が皇位継承に関与する例も存在しますが、いずれも特異な状況下であったことを忘れてはなりません。

歴史的事例

一品親王に叙せられた最初の例としては、和銅8年（715年）に穂積親王と氷高内親王が挙げられます。この時、元明天皇から氷高内親王への譲位に向けた環境整備が目指されました。 男性の皇親よりも女性皇親が先に叙されたことに対し、当時の朝廷内で反発が生じたため、最年長の皇子である穂積親王も同時に叙せられたと考えられています。

奈良時代に、他に生前に叙せられた天武天皇の子たちも重要であり、彼らは政府内での要職を歴任しました。特に母親の高い身分が叙位に大きく関与しました。社会的・財政的な重要性をもつ一品叙位は、死後の叙位は見られることが多いものの、生存者への叙位は慎重に行われました。このように、一品親王の地位は多くの条件に依存していました。

平安時代の変遷

平安時代中期以降は、皇親の地位や叙位の基準が変化していきました。特に、摂関政治の時代に入ると、後腹でない天皇の子女は臣籍降下されることが一般的となりました。この影響で、一品叙位の条件も天皇や摂関との関係が重視されるようになりました。その一方で、皇位継承において優位性を持つ親王がその位を断念した場合に、慰留として一品が授けられることもありました。

このように、一品親王の地位やその扱い、さらにはその歴史的な意義は、時代に応じて変化してきたことがわかります。結果として、天皇や外戚の保護を受ける皇親に対する特別な待遇へと移行したことも関連しています。

参考文献

• - 安田政彦「八・九世紀の一品叙位」（『日本歴史』第575号、1996年）及び『平安時代皇親の研究』（吉川弘文館、1998年）

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